研究課題/領域番号 |
22K16125
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
千葉 弓子 旭川医科大学, 医学部, 助教 (70835777)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 糖尿病性心筋症 / 心不全 / ROS / 機械的負荷 / TRPC3 / NOX2 / 肥満 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
近年、糖尿病と心機能障害が合併して起こる糖尿病性心筋症が注目されているが、臨床統計学上、糖尿病有病者の心不全発症率は非糖尿病患者の心不全発症率と比べておよそ3倍となっているのに加え、予後も悪い。心不全を発症する原因として高血圧性心疾患や弁膜症のような心筋細胞への慢性的な機械的負荷による酸化ストレスが関与していることが知られている。これらの背景から、高脂肪食を負荷させた肥満・糖尿病モデルマウスであるdiet induced obesity (DIO)マウスの心筋細胞の機械的負荷によって発生する活性酸素種(reactive oxygen species: ROS)を測定したところ、普通食マウス(lean)に比べて増加していることが明らかとなった。 また、心筋細胞の機械的負荷によるROS産生現象の一連の分子メカニズムを探索したところ、phospholipase (PLC)からtransient receptor potential canonical 3 (TRPC3)へ続く分子シグナリングが関与していることがわかった。 心筋細胞の機械的負荷によって産生されるROSは、変動する血行動態にただちに対応して心臓の出力を調節するための生理的な制御機構であるが、肥満・糖尿病患者ではこの生理的なROSが過剰に産生されることで病的なROSとなり、心不全などの病態が惹起されるのではないか、と考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心筋細胞の機械的負荷による生理的なROS産生と病的なROS産生の関連やその分子メカニズムがDIOマウスを用いることで明らかになりつつあるので、研究は順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
DIOマウスの心筋細胞において、機械的負荷によりROS産生が増加するメカニズムを探索し、それがどのようにして心不全発症へと繋がるか、解析する予定である。
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