研究課題/領域番号 |
22K16134
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
吉江 幸司 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (60724515)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | TRPV1 / 交感神経求心路 / 非虚血性心不全モデル |
研究実績の概要 |
非虚血性心不全・突然死モデル(dnNRSF-TgならびにΔK210)とTRPV1 KOの交配によるTRPV1の心機能低下抑制並びに突然死抑制効果は確実なデータとして得られている。同時に選択的TRPV1阻害薬の経口投与を施行したdnNRSFモデルとコントロールとしてのdnNRSFモデルでは決定的な心機能の差異を確認できた。このことはKOのみならず我々が将来的に見据える新規創薬による抗心不全治療薬としての可能性を大きく支持するものと考えられる。これらの結果を裏付ける心臓カテーテル結果、組織学的所見、発現定量評価(具体的には求心路阻害がもたらす心筋障害抑制効果と 心筋線維化への影響、線維化に関わるRAS系、神経体液性因子との関連性、TRPV1発現交感神経求心路末端から放出され るCardio-protectiveなタンパク質の 定量評価、心筋障害重症度の確認目的に各モデルの週齢における経時的心筋線維化のによる定量ならびに画像的評価、またリモデリングマーカーの定 量、血行動態評 価のための心臓超音波検査、心臓カテーテル検査(心内圧測定)、致死性不整脈耐性評価、テレメトリーモニタリング 、Heart rate Variability解析、活動電位に関わるチャネルの定量)を進めている。また2023年初頭からは心臓→交感神経幹→脊髄→脳により構成される求心路ルート修飾の実際のメカニズムについて検証を始めている。これらの結果は我々がここまでに得た表現系のバックグラウンドを明確にすることが期待でき、将来的な新規治療法の創出に有益なエビデンスとなりうるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
対象とするモデルを用いた表現型の検討のみならず、当初予定していたそのメカニズムに関わる分子メカニズムの定量評価に加えて、心臓→交感神経幹→脊髄→脳→心臓で構成される心臓自律神経の解剖学的、機能的側面の検証に向けた具体的な研究を開始できていることは、当初の予定を大きく上回る成果と言える。現時点においては新たなモダリティー、共同研究先との試行錯誤、実験方法の検討がさらに必要な段階ではあるが、我々がここまでに得た成果に、この自律神経機能の詳細なメカニズム解明が加わることで本研究の意義はさらに大きなものとなることを確信している。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、すでに良好な研究成果を多く得られており、現在はこのTRPV1阻害による良好な心機能維持の背景にある自律神経求心路の解剖学的並びに機能的評価を並行させている。神経系の評価という難題ではあるが、このテーマを完遂することが、本申請研究の意義をさらに高めるものとなっていくことは間違いなく、先行研究による情報収集とともに現在日々試行錯誤の中で実験を推進させている。同時に、当初の計画に沿った分子メカニズムの検索も並行している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度消耗品の再購入を極力少なくすることに成功した。次年度は、当初の計画にある実験計画とともに自律神経系の解剖学的並びに機能的評価に向けた研究費が必要となってくる。またコロナが落ち着いたことから、現状の自身の知見を深める学会への参加も増えることが予想され、資金計画を立案していきたい。
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