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2022 年度 実施状況報告書

ファブリー心筋症の病態機序解明:TFEB活性とエネルギー代謝異常の関連の解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K16138
研究機関大阪大学

研究代表者

藏本 勇希  大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任研究員 (50843794)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードファブリー病 / ファブリー心筋症 / 心筋エネルギー代謝 / TFEB活性
研究実績の概要

本研究では、ファブリー心筋症におけるエネルギー代謝異常の分子機序をTFEB関連シグナルの解析を通して明らかにすることを目的としている。令和4年度はiPS心筋細胞モデルにおけるTFEB活性の評価とファブリー病モデルマウスの解析を中心に行った。
ファブリー病患者より樹立したiPS細胞を心筋細胞に分化させたファブリー心筋症モデルでは、GLA活性が欠損し、Gb3の蓄積を認めている。免疫染色によるTFEB核内移行でTFEB活性を評価したところ、非飢餓状態においては、ファブリーモデルとコントロールではTFEB活性化している細胞の割合が異なっていた。また、飢餓刺激などのTFEB活性化刺激を加えると、活性化刺激に対する反応性もファブリーモデルで違いが認められた。このことから、GLA活性欠損ないしGb3蓄積により非飢餓状態でのTFEB活性及び飢餓刺激に対する反応が影響を受けることが示唆された。
導入・確立したファブリー病モデルマウスは、心筋細胞のGLA活性欠損・Gb3蓄積を認め、更には早期死亡を認めていたものの、明らかな心肥大や収縮能異常は認められず、死亡原因として心機能障害は否定的であった。一方で心臓組織のRNAシークエンス解析にて、有意に遺伝子発現プロファイルが変化していた。
このことから、ファブリー病モデルマウスは通常飼育環境下において、典型的なヒトのファブリー心筋症の表現型は呈していないが、心筋細胞のGLA活性欠損・Gb3蓄積増加により、遺伝子発現が変化しており、GLA活性欠損・Gb3蓄積の心筋細胞への影響を調べるためのモデルとして意義があると考えられた。今後はGLA-KO/G3STGマウスにおけるエネルギー代謝異常の有無や、上記遺伝子発現プロファイルの変化とTFEBシグナルとの関連について解析を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

マウスモデルの立ち上げ時、母マウスによる食殺などで系統維持できるまでに複数回の凍結胚解凍→胚移植を要したため、表現型評価開始が遅れた。
細胞実験用のモデル細胞が実験途中で保管用液体窒素タンクのトラブルにより失われてしまったため、細胞モデルの再構築から行っており、細胞モデルによる実験が遅れている。

今後の研究の推進方策

GLA-KO/G3STGマウスにおけるエネルギー代謝異常の有無や、上記遺伝子発現プロファイルの変化とTFEBシグナルとの関連について解析を進める。
GLA-KO/G3STGマウスに対してTFEB活性を修飾する介入を行い、自然歴やGLA活性・Gb3蓄積、心臓における遺伝子発現プロファイルについて調べる。
TFEB活性を簡便に評価できるGLA欠損細胞モデルを構築し、同モデルにおけるエネルギー代謝異常を解析することで、GLA欠損・Gb3蓄積とエネルギー代謝異常、TFEB活性との関連を解析する。

次年度使用額が生じた理由

動物実験開始が遅れたこと及び実験用の細胞株の作り直しが必要となったため、令和4年度使用額が当初の予定を下回った。実験系維持に要する作業の効率化により、令和4年度に予定していた動物実験・細胞実験は、翌年度に予定している実験計画と併せて実施可能であるため、次年度使用額は使用可能である。

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公開日: 2023-12-25  

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