研究課題
後ろ向きレジストリデータベース(ILLUMINATE-CS)を用いた解析からは多くの重要な治験を報告することができた。男性は女性より致命的な心室不整脈イベントのリスクが高く、この関係性は左室駆出率などの他の心室性不整脈イベントのリスク要因を調整しても維持されたことや(Heart. 2023;109:1387-1393)、心臓サルコイドーシス診断時の心房細動の存在はその後の全死因死亡と心不全入院の高い発生率と関連している事(Eur Heart J Open. 2023;3:oead100)を査読付き国際英文誌に発表した。また長年心臓限局性心臓サルコイドーシス患者(iCS)の臨床的特徴と予後に関するデータが不足していたが、本研究では、iCSの臨床特性と予後の影響を評価した。475人のCS患者のうち、119人(25.1%)がiCSと診断された。iCS患者は、AF歴や心不全入院歴の有病率が高く、心機能も低かった。しかし、予後因子の調整後、iCSは独立した予後不良要因として維持されなかった(Eur J Heart Fail. 2024;26:77-86)。また、前向き多施設レジストリは国立循環器病研究センターと共同にてMYSTICS-PROというレジストリを国内57施設で行う事となり、すでに倫理委員会からの承認を得て登録を開始している。
2: おおむね順調に進展している
既存後ろ向きデータベース(ILLUMINATE-CS)のデータを利用し、本邦の心臓サルコイドーシス患者の特徴やその予後因子などについて今年度で6本の原著論文を査読付き国際英文誌に掲載することができた。加えて、前向き多施設データベース構築に関して構築は終了、症例登録を開始しているため、おおむね順調に進展していると判断している。
引き続き後ろ向きレジストリデータからは本邦の心臓サルコイドーシス患者に関する知見を報告することを続け、また、前向きデータベースでは後ろ向きレジストリから得られた知見の外的妥当性の検証も含めて行っていく。
前向きデータベース構築はおおむね順調に進んでいるものの、予算の執行という点においては想定よりも遅れている為残額が多少発生している。ただ、予算組みとしては想定通りではあるため、研究の進捗に合わせて予定通り執行していく。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
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