哺乳類の心筋は胎仔期から出生直後においては増殖しているが、成長と共に分裂能を失うため、成体心臓は損傷部位を再生できないことが知られている。本研究では心筋細胞が増殖能を喪失する原因として栄養代謝の基質が出生前後で変化することに着目し解析を行った。その結果、胎仔期と同様の代謝様式を誘導する因子を特定し、遺伝子改変マウスを用いて成体心筋細胞が増殖能を再獲得することで損傷部位の再生が可能になることを明らかにした。またその下流の経路を薬理学的に活性化したところ、遺伝学的解析と同様に成体心臓の機能的回復を伴う損傷部位の再生が認められた。
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