研究課題/領域番号 |
22K16158
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
庄司 哲明 北海道大学, 大学病院, 医員 (10881021)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 免疫プロテアソーム / 免疫プロテアソーム阻害剤 / 小胞体ストレス / オートファジー / 免疫染色 / 非小細胞肺癌 / シスプラチン / 薬剤耐性 |
研究実績の概要 |
北海道大学病院で得られた化学療法既治療の肺癌患者における肺癌病変の生検検体を用いた免疫プロテアソームサブユニットPSMB8、9の免疫染色を行った。シスプラチンのみならず、同様にプラチナ系冊細胞抗がん剤であるカルボプラチン投与後の患者においてもそれらのタンパク質は高発現している傾向がみられた。また、とくにペメトレキセド併用レジメン患者においてその傾向が強かった。免疫プロテアソーム阻害剤はペメトレキセドおよびプラチナ系抗がん剤での既治療例において有力な次治療薬の選択肢となる可能性があると考えられた。少数例ではあるが、ペメトレキセド、アルブミン懸濁型パクリタキセルなどの単剤の殺細胞性抗がん剤を使用している患者においてもPSMB8、9が高い症例があった。一方で、オシメルチニブ、エルロチニブ、アレクチニブなどのキナーゼ阻害剤のみを使用した症例においてはPSMB8、9の発現は低い傾向がみられた。殺細胞性抗がん剤が生じる何らかの細胞ストレスがPSMB8、9を誘導している可能性が示唆された。 ペメトレキセド併用化学療法は肺癌患者の大半を占める肺腺癌患者において頻用される治療レジメンであり、その治療後の患者において免疫プロテアソーム阻害剤が有力な治療薬候補となることは臨床的に重要な知見であると考えられる。 免疫染色以外の日常臨床で利用可能な免疫プロテアソーム阻害剤の効果予測マーカーも探索した。肺癌細胞株において小胞体ストレス関連蛋白のsiRNAによるノックダウンは免疫プロテアソーム阻害剤の感受性に影響しない傾向が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた臨床検体による免疫染色は終了した。今後、PSMB8、9以外の分子の評価も行いたい。 基礎実験では、小胞体ストレス関連蛋白のノックダウン実験が予定通りした。次はオートファジー関連分子のノックダウン実験を行いたい。 予定通りのスケジュールで進展している。
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今後の研究の推進方策 |
オートファジー関連因子について、ウエスタンブロット法、定量的逆転者PCR法、siRNAによるノックダウン実験を行っていく予定である。また、それにより有効性が示唆される分子については、臨床検体の免疫染色も行う予定である。 また、免疫プロテアソーム阻害剤の殺細胞効果がネクロトーシスを介したものであるかどうかの検証を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子ノックダウン実験をはじめとする基礎実験は、すでに研究室にある試薬を活用することで、新規の購入が少なく済んだ。 しかし今年度で使い切った消耗品がおおいため、次年度は新規購入が多くなると予想されるため、次年度使用額といたしました。
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