研究課題/領域番号 |
22K16159
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
牧口 友紀 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (60815843)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マクロファージ分化 / avium感染マクロファージ / エクソソーム |
研究実績の概要 |
THP-1細胞を使用予定だったが、購入当初からvaibilityが悪く、PMA刺激を加えてマクロファージへ分化を試みても実際に分化できるのは30%にも届かず、継代によりさらにviabilityが落ちることから、Raw267.4細胞に標的を変更した。aviumに感染したRaw264.7からの上清中のエクソソームを、未感染のRaw264.7細胞に投与した際に、M1/M2マクロファージの分化割合に変化が起こるのかを検証した。6 well palteに2×10^6cellsを播種、24時間後にM.aviumを10MOIの濃度で1時間インキュベートして感染させた。その後無血清のDMEMで3回洗浄し、Exosome free血清で調整したDMEMに変更し、72時間後、上清を回収した。エクソソームは抽出キット(Invitrogen社、Total exosome isolation kit from cell culture media)を用い、100ulPBSに溶解した。control、10MOI、100MOIで実施し、エクソソーム溶解PBSのタンパク濃度をプロテインアッセイで測定したところ、いずれも0.5mg/ml前後で差がなかった。10MOIで感染した際のエクソソーム100ugを2×10^6cellのRaw264.7 cellに投与した。controlおよびエクソソームを投与した細胞を24時間後に回収、染色、固定、透過処理を実施した。染色にはM1としてCD206、M2としてiNOSを用いた。ポジティブコントロールはM1はRaw264.7にLPS 1000ng/ml+IFNγ20ng/mlを、M2はIL-4 20ng/mlを投与して準備した。フローサイトメトリーで各サンプルを検証した。controlと比べ、エクソソームを投与したRaw264.7は、M1にもM2にも分化が見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
M.aviumの発育が遅いことは想定していたものの、想定以上に遅く、OD値(吸光度)が示す菌増殖は過去の論文のようには上昇せず、一定値以上には達しない。 また、マクロファージについてもTHP-1が想定以上に発育せず、また刺激を投与してもマクロファージへ分化見られず、実験に使えるほどの細胞数を確保できず、細胞種の変更を余儀なくされた。さらに上記、コントロールと比較して差が出なかった理由として、PBSに溶解したエクソソームと思っていたものは、電子顕微鏡ではエクソソームが確認されておらず、抽出キットでの回収にはテクニカルな問題があると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
エクソソームの回収はサンプルとキットの混合、インキュベート、遠心を組み合わせたものであるが、ペレットが見えないため、遠心後の上清破棄の際には多めに残すつもりでしなければならない可能性がある。また、Raw264.7 cellsにおけるaviumの感染が成立しているのかについても、共焦点顕微鏡を用いた確認が必要である。これらが確認できなければ、本当に今回のエクソソームが意義がないとは断定できず、検証をすすめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の遂行が予想以上に遅れたため,未完了の研究を継続する必要がある。令和5年度は物品の充実及び解析により研究を進める予定である。
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