研究課題
2022年度は初年度であり、メタボライト(アミノ酸)の解析方法の確立を行うこととした。LC/MS/MSを用いてX、Y、Zの3つの候補物質の測定系の確立を試みた。具体的には、使用する溶媒の種類、カラムの種類、検量線、内部標準物質、検体処理の検討を、健常者の血清サンプルを用いて複数回行った。最終的に安定して再現性の伴う測定結果が得られるようになったため、間質性肺炎患者の血清サンプルを用いて測定したところ、一部のサンプル測定値が検量線外にでてしまうため、再度条件の検索をおこなった。またサンプルの凍結融解による、X、Y、Zのアミノ酸測定値の影響も検証したが、凍結融解後の同一サンプルではほぼ同じ測定値を得ることができたため、頻回の凍結融解でなければ同一サンプルで複数回測定可能であることを確認した。溶媒の種類や内部標準添加物に関しても複数の組み合わせを検証した。一定の再現性を得た測定系の確立後に、間質性肺炎安定期の患者血清サンプル、間質性肺炎急性増悪の患者血清サンプル、健常者血清サンプルを用いて測定を行った。先行研究とはやや異なる結果であったものの、明確な差が見られており、バイオマーカーとしての有用性が示唆される結果であった。今後はサンプル数を増やしてさらなる追加解析を行って行く予定である。またサルコイドーシス患者での検討と、外注検査で同傾向の結果がでるかを確認するため、新たに倫理委員会へ申請を行い承認された(A22302)。
1: 当初の計画以上に進展している
アミノ酸測定系確立のための、条件検討に時間を要することを予測していたが、条件検討が概ね終了し測定系がほぼ確立できたため。
引き続き、間質性肺炎安定期の患者サンプル、急性増悪の患者サンプル、健常者コントロールのサンプル、サルコイドーシス患者の血清サンプルを用いて測定を行い、疾患特異性があるかどうかの検討を行う。また測定値と患者の臨床データをあわせて解析し、予後は治療反応性などを予測しうるかなどを検討し、バイオマーカーとしての有用性を検証していく予定である。また汎用性を考慮し、外注検査でも代替可能かどうか検討する予定である。
次年度使用額が生じた理由は、汎用性と再現性の検証のために外注検査を2022年度に行う予定であったが、倫理委員会の承認に時間を要したため、提出できなかったため未使用額が生じた。次年度は上記の外注検査に加え、引き続きの解析のための費用、試薬の購入費用、消耗品の購入、学会参加のための費用として使用する予定である。
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