研究課題
若手研究
本研究は、呼吸機能に必須の生理活性物質である肺サーファクタントの個々のリン脂質成分の機能を明らかにすることを目的とした。我々は、リン脂質合成酵素であるリゾリン脂質アシル基転移酵素に着目し、その遺伝子改変マウスを用いて脂質解析と呼吸機能解析を行った。解析の結果、著明な変動を呈するリン脂質を複数認め、呼吸機能変動を示す可能性があるリン脂質成分を挙げることができた。
呼吸器内科学
肺線維症や急性呼吸切迫症候群の患者さん由来の検体で特定脂質クラスの減少が報告されている。また、肺非結核性抗酸菌症の治療として抗生剤入り吸入剤の基剤としてリン脂質が使用されるなど、肺疾患とリン脂質の関連が示されている。マウス実験では、糖尿病誘発食餌によって飽和脂肪酸含有リン脂質が低下することが報告され、食事療法のターゲットとなる可能性もある。本研究の将来的な展望として、特定脂質と疾患の関連を明らかにすることで新規創薬ターゲット開発を目指す.