他国に比べ透析歴が長いとされる本邦でも,透析患者の5年生存率は60.8%,10年生存率は35.9%であり生命予後は決して良好とはいえない.透析患者の死亡原因として心不全や感染症が1位と2位を占め,これらを減らすことが予後改善につながる. 本研究の目的のひとつである透析患者における腸内環境の変化を明らかにする、については群間比較解析や予測ゲノム解析を用いて検討を行った.現在、論文化にむけて準備中である. また、本研究に関連する動向のひとつとして,心血管合併症と腸内細菌叢の関係が報告されている.尿毒素物質の中でも腸内細菌由来の代謝物であるトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)が動脈硬化の進展や冠動脈疾患の発生リスクに関わることが明らかになっている,本研究においても血液透析71例、健常対照群31例に対して、血液中のTMAO濃度の測定を行い、TMAO産生に関わる腸内細菌について検討を行っている. また,CKD患者における免疫能低下の機序について腸内細菌叢からアプローチした研究はこれまでない.本研究では,透析患者の免疫担当細胞と腸内細菌叢について検討を行っている.
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