研究実績の概要 |
2年目は各種Cdkal1ノックアウトマウスを用いた解析を実施した。まず、全身型Cdkal1ノックアウトマウスと膵β細胞特異的Cdkal1ノックアウトマウスにおけるアルブミン尿の比較を行なった。その結果、全身型Cdkal1ノックアウトマウスで有意なアルブミン尿の増加を認めた。全身型Cdkal1ノックアウトマウスに、5/6腎臓摘出やストレプトゾトシン投与を行い腎負荷を行なった。その結果、全身型Cdkal1ノックアウトマウスにおいて有意なアルブミン尿の増加を認めた。加えて血中クレアチニンの有意な増加を認めた。また全身型Cdkal1ノックアウトマウスに腎糸球体における形態学的変化を行うため、PAS染色やHE染色を行なったが明らかな形態学的異常は認めなかった。次に、より詳細な評価を行うため、電子顕微鏡写真を撮像したところ、全身型Cdkal1ノックアウトマウスにおいて足突起消失(foot process effacement)を認めた。このことから、Cdkal1は腎糸球体足細胞における濾過機能にとって重要な役割を担っていることが示唆された。また初年度で作成したCdkal1ノックアウト足細胞(E11)での表現型を詳細に検討するため、特定のコドン5つ挿入したルシフェラーぜを設計しプラスミドを作成した。そのプラスミドをトランスフェクションし、各コドンでの翻訳効率を評価したところCdkal1ノックアウト足細胞においてリジンコドン(AAA,AAG)において有意な翻訳量の低下を認めた。
|