研究実績の概要 |
本研究は、IgA腎症の病態における腸管粘膜を介した糖鎖異常IgA(Gd-IgA1)の産生機序を解明することを目的とする。 無菌環境の8週齢のIgA腎症発症マウス(無菌マウス)に対して血清のIgA, Gd-IgA, IgG-IgA免疫複合体(IC)や尿蛋白を測定し、腎組織の評価を行ったところ、血清IgA, Gd-IgA, IgG-IgA ICに関して、通常環境のマウスに比較して、著明な低下を認めた。また、腎組織においても、有意なIgA沈着の低下と尿蛋白の低下を認めた。 また、無菌環境のIgA腎症発症マウスの上気道関連リンパ組織(NALT)、腸管関連リンパ組織(GALT)のそれぞれの細胞を分離して培養を行い、その上清におけるIgA, Gd-IgA, IgG-IgA ICを測定したところ、同様に、IgA, Gd-IgA, IgG-IgA ICに関して、通常環境のマウスに比較して、著明な低下を認めた。 これらのことから、外来抗原の粘膜免疫への感作が、IgA腎症におけるGd-IgA産生系を誘導することが判明した。
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