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2022 年度 実施状況報告書

転写因子MondoによるPodocyte代謝調整機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K16240
研究機関大阪大学

研究代表者

酒井 晋介  大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60817360)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワードオートファジー / 解糖系 / 老化
研究実績の概要

Podocin-Cre(Podocyte特異的にCreを発現するマウス)とMondoA floxマウスを交配させ、Podocyte特異的MondoA不全マウス(KOマウス)を作成した。KOマウスを2か月齢および6か月齢まで飼育したところ、KOマウスにおいて6か月齢では体重変化がみられたが、尿蛋白や尿糖などの尿所見はみられなかった。また腎組織の染色を施行したが、KOマウスに糸球体硬化などの特異的に糸球体病変は認めなかった。そこで、高脂肪食負荷2型糖尿病モデルを作成し、疾患モデルへの影響を確認したが、6か月までの飼育では、Wild typeと比較して尿蛋白に変化はみられず、組織変化も有意な糸球体硬化の所見はみられなかった。
次に、野生型マウスおよびKOマウスより単離糸球体を回収し、WBによるLC3などのAutophagy因子の評価を行った。尿細管ではMondoAの低下によりAutophagy活性の低下がみられたが、Podocyteにおいては大きな変化はみられなかった。一方で、仮説通り解糖系因子の亢進はみられ、これらは、疾患モデルにおいても同様であった。
電子顕微鏡でのポドサイトの評価を行ったが、ミトコンドリアやリソソーム形態に大きな変化がみられず、PodocyteにおいてはMondoAが明らかなAutophagy Regulatorとは言い難い結果であった。
一方で、同じ腎組織である近位尿細管細胞におけるMondoAはAutophagy活性を制御し、虚血再灌流や飢餓状態においてMondoAの低下によりAutophagyが停滞することを明らかにした。近位尿細管のMondoAの低下により脂質の蓄積が低下することも明らかになり、解糖系に依存してエネルギー代謝を行っていることが判明した。以上の結果は、もともとPodocyteは解糖系を中心にエネルギー代謝を行っていることから、近位尿細管と比較してMondoAの有無によるPhenotypeの変化を起こしにくいことが想定された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

MondoAのPodocyteでの発現は少なく、Knockoutモデルでは明らかなPhenotypeが出にくいため、生体におけるMondoAの役割を確立することが非常に困難であった。
一方、尿細管細胞におけるMondoAの発現は少ないものの、疾患モデルにおける変化が出現しやすく、In vivo/In vitroともに同様の結果およびシグナル同定を明確化しやすい。
Podocyteだけでなく、腎組織におけるMondoAの役割の評価にExpandして、腎全体におけるMondoAの関わりについて研究を継続している。

今後の研究の推進方策

Podocin-Cre(Podocyte特異的にCreを発現するマウス)とMondoA floxマウスを交配させた、Podocyte特異的MondoA不全マウス(KOマウス)については、糖尿病モデル(STZおよび高脂肪食負荷モデル)において、尿蛋白や組織表現型の変化がでなかったものの、解糖系などの代謝の影響はあるため、より表現型の出現する可能性の高い老化モデルを施行中である(マウスを1.5~2年齢まで飼育中)。
老化への影響を確認できれば、解糖系とGlutamine代謝についてさらなる評価を施行する予定である。

一方で、Podocyteに関わらず腎組織では尿細管でのMondoAの働きが非常に腎組織への影響を反映している結果になってきており、近位尿細管での評価およびPodocyteとの相互関係について評価を継続していく予定としている。

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公開日: 2023-12-25  

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