Keap1とβrCPによるNrf2分解経路を遮断したNrf2活性化マウスは皮膚炎を発症するが、βrCPによるNrf2分解だけを遮断したマウス、Keap1によるNrf2分解だけを遮断したマウスは皮膚炎を発症しない。 そこで、各マウスの表皮におけるNrf2活性を評価するためにNrf2活性化の指標となるNqo1 mRNAの発現をRT-qPCRで調べた。タモキシフェン投与1週後の表皮におけるNqo1 mRNAの発現は、対照マウスに比べてKeap1によるNrf2分解だけを遮断したマウスにおいて約4倍、両者による分解経路を遮断したマウスにおいては約20倍とさらに発現が上昇した。Keap1抑制に加え、β-TrCPによるNrf2分解を抑制すると、Nrf2の活性が増強することが示唆された。 表皮を用いたRNA-seqによる網羅的遺伝子発現解析においても、βTrCPによるNrf2分解だけを遮断したマウス、Keap1によるNrf2分解だけを遮断したマウスと比較して、両者による分解経路を遮断したNrf2活性化マウスではNrf2標的遺伝子群の発現が増加した。RT-qPCRの結果と一致して、Keap1またはβTrCPの単独抑制と比較して、両者の同時抑制はNrf2をより強く活性化し、このことが皮膚炎の発症に貢献している可能性が示唆された。
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