研究課題/領域番号 |
22K16261
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉川 剛典 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (20908884)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | IL-17 axis / IL-36 signaling / skin barrier |
研究実績の概要 |
CARD14 knock in マウスは、ヒトの毛孔性紅色粃糠疹(pityriasis rubra pilaris: PRP)に類似した肉眼的所見、病理的所見を示す事を確認した。CARD14変異をホモ接合体でもつマウスは生後3-5日頃から激しい角化性病変を全身に生じ、それととも体重増加不良となり、ほとんどは新生仔期に死亡するが、一部は長期生存することがわかった。CARD14変異をヘテロ接合体でもつマウスは、新生仔期時には肉眼的に明確な表現型を示さず、新生仔期時では野生型と肉眼的に区別する事は困難とわかったが、一見正常にみえる皮膚を病理学的観察すると、軽度の炎症と角化を示していた。また、ヘテロ接合体のマウスは野生型と同等に長期生存するが、生後3-5週頃に尾に一過性に肉眼的にもわかる角化性病変を生じることがわかった。ヘテロ接合体同士の交配では、野生型、ヘテロ接合体、ホモ接合体マウスの出生割合は、メンデル遺伝に概ね従っており、ホモ接合体マウスの胎生致死は無いか、あってもわずかと考えられた。
新生仔期のホモ接合体のマウスから採取した病変部皮膚のマイクロアレイ解析では、IL-17軸、IL-23、インフラマソームなどに関連する遺伝子の発現が亢進しており、これらがPRPの皮膚病変形成に重要であることが示唆された。
マイクロアレイ検査結果を元に、生物学的製剤の治療実験を行っている。治療開始数日後から、表現型が徐々に改善することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
変異マウスの繁殖、皮膚サンプルの取得、治療実験などが概ねスムーズにできているため。
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今後の研究の推進方策 |
・今後、サンプル数を増やしてさらなる治療実験を行う。 ・これまで報告されたCARD14 knock in マウスとの炎症プロファイルの違いをさらに検討する。 ・シングルセル解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
出費が高額となるシングルセル解析をまだ行っていないため、次年度使用額が生じた。この予算は今年度に行うシングルセル解析にあてる予定である。
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