25例の日本人メラノーマサンプルを用い、次世代シークエンサーで網羅的エクソーム解析を行い、同じ症例でのメタボロミクスの網羅的解析から、メラノーマに特徴的な低分子代謝・メラノーマ代謝の分子機構を解明し、特定の代謝物を標的とした治療シーズを探索することを目的とし、予定している2種類のオミクス解析を完了できた。具体的には、次世代シークエンサーでの網羅的エクソーム解析データと、同一個体25サンプルからの血液を用いたメタボロミクスのデータを採取した。ホルマリン固定パラフィン包埋ブロックから薄切スライド標本を作成し,レーザーマイクロダイセクションにより腫瘍部と正常部から選択的にサンプルを採取した。特にこれまで困難と考えられていた正常部データも採取することができた。この成果をもって、今後メラノーマ発症に関わる体細胞変異を明らかにするとともに、正常部のゲノム解析から生殖細胞系列の遺伝子変異を同定し、両者の関連性も明らかに出来ると考えている。この成果から、25例のヒトメラノーマサンプルと25例の正常部サンプルを用いて、次世代シークエンスによるエクソーム解析とメタボローム解析による多階層にわたるマルチオミクス解析を行うことが出来たなら、同一患者のサンプルからヒト個体内でダイナミックに形成されるゲノムと低分子代謝物の関係を見出すことができ、それによりメラノーマにおける新規作用点を標的とした画期的な治療シーズ及びバイオマーカーの探索が進む。
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