近年、難治性皮膚疾患に対して効果の高い生物学的製剤の開発が進んでおり、一定の治療ニーズは満たされているものの、重篤な感染症を含む副作用や過敏症への注意が必要であり、高齢者・妊婦・小児といった患者では慎重投与が必要である。薬価も高く医療経済面での課題が大きい。一方、光線療法は、重篤な副作用や慎重投与の対象となる患者群が比較的少なく、寛解期間が長いなどの特徴があり、比較的経済性にも優れた治療方法である。そのため、海外でも生物学的製剤の登場により光線療法の使用頻度が少なくなるが、あらためて見直されている治療方法である。しかも、疾患汎用性が高い。しかしながら、治療効果や寛解導入までの期間に関しては必ずしも十分ではなく、さらなら発展の余地がある。そのため、本研究により光線療法における免疫抑制のメカニズムの更なる解析を行い、抗原特異的に免疫抑制を誘導する至適波長をあきらかにし、新たな光線療法に向けた基盤技術の確立を行う。接触過敏反応(CHS)、遅延型過敏反応(DTH)のモデルでブロードバンドUVB照射による局所・全身性免疫抑制作用が報告されているが、用いられる紫外線はブロードなもので最適な波長特性は明らかになっていない。現在臨床では、抗原は用いず紫外線(308nmや311nmもしくは365nm近辺)を用いているが、抗原(ハプテン・タンパク)との組み合わせにおいては、さらなら効率的な波長領域がある可能性も考えられる。そこでまずは、紫外線照射時の免疫抑制関連細胞のプロファイル解析に向けて、抗原感作マウスへの紫外線照射を行い制御性T細胞関連マーカーの変化を調べる。OVA抗原を用いて感作マウスの作成、再現性を確認した。
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