研究実績の概要 |
我々が提唱するネスチン陽性毛包幹細胞はニューロンやグリア細胞、その他多くの種類の細胞に分化することを確認している。これより我々は過去に毛包幹細胞を用いて末梢神経と急性期・慢性期脊髄損傷を修復できることを示してきた。今回我々は、いまだ効果的な治療が存在しない脳出血に対する毛包幹細胞の移植効果について実験を計画した。まずは線条体の脳出血モデルを作成するための実験系を考案した。方法としてまず局所麻酔下でC57BL/6マウスの頭蓋骨を露出し、ブレグマより前方0.2mm、側方2mmの位置にドリルによって孔を開けた。続いてドリルで作成した孔よりハミルトンシリンジ (Hamilton 87942, Hamilton, Allston, MA, USA)の針を挿入し、固定した状態でコラゲナーゼⅦ (0.075 U in 0.5 μl volume, #LS005332, Worthington Biochemical Lakewood, NJ, USA) を0.25 μl/minで2分間かけて注入した。その後1週間毎にlimb placing test, cylinder testによって行動解析を行い、運動機能低下が生じていることを確認した。今後このモデルマウスを用いて、培養したネスチン陽性毛包幹細胞を脳内に直接注入することで運動機能改善が証明できるかを確認する予定である。
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