研究実績の概要 |
自己免疫疾患は自己抗体を産生する慢性炎症疾患である。標的臓器が多臓器に及ぶ全身性自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)や皮膚筋炎ではI型インターフェロン(IFN)が病態に関与する。I型IFNは通常ウイルス感染に応答して産生されるが、代表的レトロトランスポゾンである長鎖散在反復配列(LINE-1)もI型IFN産生を誘導する。これまでにSLEでI型IFN上昇とLINE-1の相関が報告されているが、近年申請者は健常人10人と比較して、皮膚筋炎患者28人の白血球におけるIFN-α2, β1の有意なmRNAの上昇を確認し、皮膚筋炎におけるLINE-1 mRNAの発現上昇とI型IFN mRNA発現の強い相関を見出した。本研究課題では対象疾患をSLEと自己免疫性水疱症に拡大し、自己免疫疾患の病態におけるI型IFN発現上昇とLINE-1の関与とIFN経路活性メカニズムを明らかにする。本研究により自己免疫疾患の新たな初期病態形成機序を解明することを目的とした。末梢血白血球よりRNAを抽出し、cDNAに合成後、リアルタイムPCRを用いて、LINE-1などのレトロトランスポゾン、I型~III型IFN、JAK、 STAT、Interferon Stimulated Genes(ISGs)の遺伝子発現を解析した。LINE-1 プロモーター領域のメチル化レベルをパイロシークエンス法にて測定した。複数の培養細胞株を用いて(A431、NP-2、G361、HaCaT等)RNAを抽出し、レトロトランスポゾンやIFNの遺伝子発現について解析している。
|