本研究では、造血細胞特異的にS-アデノシルメチオニン(SAM)合成酵素の欠損誘導が可能なマウスを作成した。造血細胞でSAM合成酵素の欠損誘導が可能であることを遺伝子発現解析などで確認した。酵素活性の低下については、質量分析を用いた代謝物量変化測定で確認した。欠損誘導を行った後に、継時的に造血組織を採取し、造血への影響を解析した。その結果、欠損誘導後、わずか数日で造血幹細胞および前駆細胞分画の細胞数が減少することが明らかとなった。追加の解析により、細胞自律的なSAM合成が造血幹細胞および前駆細胞の維持に必要であることが明らかとなり、そこには、p53経路の活性化調節が関わる可能性を見出している。
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