研究課題/領域番号 |
22K16305
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
井上 明威 熊本大学, 病院, 医員 (50790268)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 成人T細胞白血病リンパ腫 / 同種造血細胞移植 / モガムリズマブ |
研究実績の概要 |
成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)に対する有効な新規薬剤であるmogamulizumab(Mog)は、同種造血細胞移植(移植)前にMog投与することは重症移植片対宿主病(GVHD)および移植関連死亡の危険性を増加させるが、そのメカニズムははっきり分かっていない。また移植前と違い移植後再発に対してはMogを比較的安全に投与でき、一部の症例においては有効であるが、どのような症例において有効であるかは分かっていない。そこで本研究ではATL患者検体を収集し、Mog血中濃度とATL細胞やHTLV-1感染細胞、制御性T細胞(Treg)に注目し、移植前後の患者において安全で有効なMog投与を可能にすることを目的とする。 本年度はこれまで得られた知見を再評価するとともに、新規の検体集積に取り組んだ。これまで得られた知見では、Mog血中濃度が移植前:679ng/ml、移植18日後:190 ng/mlで、さらに移植前・移植18日後にごく少数例ではあるがTregが同定できる症例では、重篤なGVHDを発症することなく経過しており、移植前および移植直後の低いMog血中レベルとごく少数でもTregを同定できることが重要だと考えられる。同種移植後のMog投与については以前6症例での結果を発表したが現在引き続き症例集積中であり、末梢血病変に有効であること、リンパ節病変には有効性が劣るものの局所病変には他の治療と併用することで効果が得られることが確認できた。今後は更に症例および検体集積を続けるとともに、フローサイトメトリーおよびマスサイトメトリーによる解析を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
解析に必要な検体収集が予定より遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き検体収集に取り組むとともに、他の研究で得られた検体の二次利用が可能かどうか調整を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
検体収集に時間を要しており、計画した解析が行えず、計上していた物品費が使用されなかった。参加予定だった学術集会がオンライン形式となったため、計上していた旅費が使用されなかった。
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