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2022 年度 実施状況報告書

TP53変異陽性急性骨髄性白血病に対するMCL-1制御を介した新規治療法の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 22K16312
研究機関日本医科大学

研究代表者

阪口 正洋  日本医科大学, 医学部, 講師 (50809374)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードenChIP法 / 治療抵抗性 / 急性骨髄性白血病
研究実績の概要

TP53は細胞に生じたストレスに応答し、生体をがんの発生から保護する「ゲノムの守護神」としての役割をもっており、最も重要ながん抑制遺伝子の一つと考えられる。TP53変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)は8%前後の症例に認められ、高齢者に多く染色体複雑核型を認めることが多い。また化学療法に対して強い抵抗性を示し寛解導入率や全生存率は低く、病態解明も満足に進んでいない。私達はこれまでに、この化学療法に対する抵抗性機構を解明することは、予後不良のTP53変異陽性AMLの治療成績の向上につながるため非常に重要な研究課題と考え検証を行ってきた。
今回、AMLの培養細胞株におけるTP53ノックアウト細胞を、ゲノム編集システムを用いて作成しTP53変異陽性細胞株モデルとした。これらの細胞株にAMLの標準治療薬のひとつでアドリアマイシン処理後顕著な抗アポトーシス因子の発現亢進が確認された。私達はこれまでにこの抗アポトーシス因子の発現を誘導すると報告されてきた転写因子の活性化を検討したが、どの転写因子も関与してなかった。したがって、これまでに知られていない新たな転写因子の存在が示唆された。そこで、遺伝子座特異的 ChIP 法と 質量分析装置(MS)解析を組み合わせた、「遺伝子座特異的クロマチン免疫沈降法(enChIP)法)」を用いて、解析対象ゲノム領域結合蛋白質の同定を行うため、TP53ノックアウト細胞へ3×Flag-dCas9を強制発現させた細胞を作製したところである。今後は、アドリアマイシン刺激後にこの抗アポトーシス因子のプロモーター領域へ結合する蛋白質の同定を続けていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り遂行している。

今後の研究の推進方策

これまでに、TP53変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)において、治療抵抗性の分子機構の解明を行ってきた。近年、AML治療にBcl-2を標的としたベネトクラクスが承認され、アザシチジンとの併用療法は有望な結果を得ている。しかしながら、薬剤耐性を獲得してしまう可能性や一部の患者にはその効果が乏しいことも考えられる。これまでの研究成果で、ベネトクラクスとアザシチジンとの併用療法が効かないタイプの細胞では、我々が同定した抗アポトーシス因子の亢進が推測された。したがって、今後は我々が特定する転写因子が、治療抵抗性のバイオマーカーとなれるかどうかも検体を用いて検証していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度は経費の高い動物実験を計画しており、動物飼育、動物へ投与する薬剤等の購入を予定しているため。

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公開日: 2023-12-25  

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