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2022 年度 実施状況報告書

造血細胞移植後のT細胞老化機構の解明と慢性移植片対宿主病への影響

研究課題

研究課題/領域番号 22K16317
研究機関東京大学

研究代表者

神保 光児  東京大学, 医科学研究所, 医員 (50915478)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード同種造血細胞移植 / 移植片対宿主病(GVHD) / 免疫再構築 / 免疫老化 / 老化T細胞 / フローサイトメトリー / p38-MAPK経路
研究実績の概要

本研究は造血細胞移植後のリンパ球を解析することにより、造血細胞移植後の老化T細胞サブセットの機能と動態を明らかにするとともに、老化T細胞が慢性移植片対宿主病 (GVHD) に及ぼす影響を明らかにすることで、老化T細胞の除去が慢性GVHDの新たな治療選択肢となる可能性を検討することを目的とした。
老化T細胞は高度に分化したT細胞 の画分に含まれるが、同種造血細胞移植後の末梢血液リンパ球の解析により、CD3+, CD4+ or CD8+, CCR7-, CD45RA+, CD27-の分化したエフェクターT細胞分画が慢性GVHDを発症していた症例において有意にその割合が高くなることを見出した。老化T細胞サブセットは様々定義されているが、CD3+, CD4+ or CD8+, CD45RA+, CD27-を用いている報告があり (Henson SM. J Clin Invest.2014)、この結果から老化T細胞サブセットが同種造血細胞移植後の慢性GVHD発症例で豊富に存在していることが示唆された。
今後はより詳細なサブセット解析 (CD3+, CD4+ or CD8+, CD27-, CD28-, CD45RA+, KLRG1+, CD57+)、臨床情報を交えた解析、炎症性サイトカインや老化マーカーの解析、抗老化作用化合物の添加による老化T細胞の除去による効果、最終的にはGVHDマウスモデルにおける老化T細胞の除去が慢性GVHD抑制に寄与するかどうかを検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの研究にて老化T細胞サブセットが同種造血細胞移植後の慢性GVHD発症例で豊富に存在していることが示唆されている。今後はより詳細な検討を行う予定であるが、その解析の準備も整っており、当初の予定通り概ね進行していると評価する。

今後の研究の推進方策

これまでの研究にて老化T細胞サブセットが同種造血細胞移植後の慢性GVHD発症例で豊富に存在していることが示唆された。今後はより詳細なサブセット(CD3+, CD4+ or CD8+, CD27-, CD28-, CD45RA+, KLRG1+, CD57+)での老化T細胞サブセットを検討する。得られた結果を臨床情報と併せて解析し、主に①慢性GVHDとの関連、②移植後時系列での評価による移植後免疫再構築との関連、を評価する。これらにより同種造血幹細胞移植患者の老化T細胞の推移と、増加や減少に関わる因子を同定する。
また、老化T細胞サブセットのサイトカイン分泌能などの機能解析、老化関連分泌形質 (SASP)、老化機構と関連が示されているp38-MAPK経路などのシグナル伝達経路の解析を行う。また、RNAシーケンスを発端に未知のメカニズムやシグナル伝達経路に関しても検索も行う。これらにより慢性GVHD発症や移植細胞ソースによる老化T細胞の機能の変化、慢性GVHD発症 に関わることが想定される老化T細胞の発現変動遺伝子・シグナルを探索する。
続いて、老化T細胞の維持に関わるp38の阻害物質 (BIRB796)、老化細胞を選択的に除去すると近年報告があるBcl2阻害薬 (ABT-263) 、RNAシーケンスにて関連が示唆される経路の阻害化合物などを用いた評価を行う。これにより慢性GVHD患者の老化T細胞をこれらの 薬剤が除去できるのか、またその機能にどのような影響を与えるかを評価する。また、最終的にはマウス慢性GVHDモデルにおいての老化T細胞の除去効率、またそれによる慢性GVHDの評価を行い、慢性GVHDへの治療応用への有効性を検討する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Genetic deletion and pharmacologic inhibition of E3 ubiquitin ligase HOIP impairs the propagation of myeloid leukemia2022

    • 著者名/発表者名
      Jimbo Koji、Hattori Ayuna、Koide Shuhei、Ito Takahiro、Sasaki Katsuhiro、Iwai Kazuhiro、Nannya Yasuhito、Iwama Atsushi、Tojo Arinobu、Konuma Takaaki
    • 雑誌名

      Leukemia

      巻: 37 ページ: 122~133

    • DOI

      10.1038/s41375-022-01750-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Immunoglobulin superfamily member 8 maintains myeloid leukemia stem cells through inhibition of β-catenin degradation2022

    • 著者名/発表者名
      Jimbo Koji、Nakajima-Takagi Yaeko、Ito Takahiro、Koide Shuhei、Nannya Yasuhito、Iwama Atsushi、Tojo Arinobu、Konuma Takaaki
    • 雑誌名

      Leukemia

      巻: 36 ページ: 1550~1562

    • DOI

      10.1038/s41375-022-01564-7

    • 査読あり
  • [学会発表] 自家造血細胞移植後の HHV-6B 再活性化を契機に血球貪食症候群を発症した 1 例2023

    • 著者名/発表者名
      神保 光児、横山 和明、福山 朋房、藤田 純美子、佐藤 亜紀、川俣 豊隆、南谷 泰仁
    • 学会等名
      第18回 日本血液学会関東甲信越地方会

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公開日: 2023-12-25  

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