本研究の目的は、オミックス解析と機械学習の手法に基づく関節リウマチ(RA)の治療有効性を予測する因子の同定、および治療有効性を予測するモデルの作成により、RA最適化治療の基盤を構築することである。具体的には、①末梢血単核細胞の遺伝子発現プロファイル解析、および血漿のメタボロームとリピドームからマルチオミックス解析を行い、生物学的製剤の反応性に関連する因子を抽出する。また、②KURAMAコホートとANSWERコホートのビッグデータを用いて、一般的な臨床指標から、治療反応性に関する機械学習モデルの作成を行う。さらに、③マルチオミックス解析の結果からRAや自己免疫性疾患に関連が推測される分子を抽出すると共に、基礎実験において生物学的意義を明らかにする。本研究の成果は、最適なRA治療薬の選択を可能とし、RA治療成績の向上とRA治療の個別化、引いては医療費削減につながることが期待できる。令和4年度は、RNAシーケンスを用いた末梢血単核細胞の意d年始発現パターンと治療アウトカムの相関についての解析を行った。治療前にインターフェロン関連遺伝子発現の高い患者においてはTNF阻害薬の効果が乏しいことが分かり、論文で報告した。また、詳細は解析中であるが、特定の細胞群の遺伝子発現が高い群では、生物学的製剤による強力な治療を行っても関節破壊が進行することが明らかになった。機械学習を用いた研究では、診断未確定関節炎から関節リウマチ進展の予測モデルを開発した。今後論文化を進める予定である。関節リウマチ患者において新規単球系細胞を発見した。メタボローム解析等の機能解析を進める予定である。
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