研究実績の概要 |
p21免疫染色を行う事により、SKGマウスにおける間質性肺炎(SKG-ILD)の肺線維化部位には、zymosan投与4週後からp21を発現する細胞を認め、線維化の進行と共にp21陽性細胞が増加する事がわかった。RT-qPCRにおいてもp21をコードするCdkn1aの有意な上昇を認め、SKG-ILDの病態に細胞老化が関連する事が示唆された。 また、senolyticsとして当初検討していたbis-2-(5-phenyl-acetamido-1,3,4-thiadiazol-2-yl)ethyl sulfide (BPTES)を腹腔内投与し、BPTESがILDの発症を抑制する事ができるか検討を行った。しかし、BPTESを投与した群とコントロールとしてDMSOを投与した群を比較して、SKG-ILDの発現に有意な差を認めなかった。SenolyticsをDasatinibとQuercetinの混合(D+Q)を2週間に1回、3日間連続して内服する方法に変更し、コントロール群と比較したところ、D+Qを投与した群はRT-qPCRでp21をコードするCdkn1aと、I型コラーゲンをコードするCol1a1の発現が有意な低下を認め、老化細胞が除去されることにより、線維化が抑制されている可能性が示唆された。また、肺組織にMasson trichrome染色をを行い、Ashcroft法による肺線維化の評価を行った。D+Q群はコントロール群と比較して、有意差はつかなかったが線維化が抑制されている傾向にあった。また、D+Qの投与により、どのような免疫細胞が変化するかフローサイトメトリーで解析を行ったところ、CD45陽性細胞においてD+Q群はコントロール群より有意な低下をみせた。
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