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2023 年度 実施状況報告書

腸球菌の新規線状プラスミドの疫学解析、並びに薬剤耐性遺伝子獲得・伝達機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K16368
研究機関群馬大学

研究代表者

橋本 佑輔  群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40649381)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード腸球菌 / プラスミド / キノロン耐性遺伝子
研究実績の概要

腸球菌は典型的な日和見感染菌であり、元来多くの抗菌薬に耐性を示す。近年とりわけEnterococcus faeciumの一部の系統(Clade A1)の多剤耐性化が医療現場にて大きな問題となっている。腸球菌の多剤耐性化の重要な因子として接合伝達性プラスミドが知られている。その中でも近年我々のグループが発見した線状構造をしたpELF1型プラスミドは国内外での報告が増えており、公衆衛生上重要なプラスミドと考えられている。
令和5年度の本研究では、当初予想していなかったpELF1型プラスミド上に存在する新規キノロン耐性遺伝子を同定、その機能解析を実施した。本遺伝子はqrtA(Quinolone resistant transporter A, QrtA)と命名した。QrtAはMFS型トランスポーターに属し、接合伝達実験によりE. faeciumをはじめ複数の菌種にキノロン耐性を付与することが判明した。私たちの知る限り現在までに腸球菌での伝達性キノロン耐性遺伝子の報告はなく、世界で初の腸球菌の伝達性キノロン耐性遺伝子と考えられた。本遺伝子は黄色ブドウ球菌のNorAと類似の構造と考えられており、その由来はEnterococciと共通祖先が存在すると想定されている水生環境・動物からの検出の多いVagococcus sp.が示唆された。またクローニングによる機能解析では、キノロン耐性を付与すると共に、エチジウムブロマイドの排出能も確認された。現在、QrtAのWGSデータを基にした網羅的な解析を実施しており、投稿準備を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度の研究内容は、令和4年度に発見した新規キノロン耐性遺伝子(QrtA)に関する解析を主として実施した。本遺伝子の発見は研究計画当初は予想していなかったものあり、腸球菌で初となる伝達性新規キノロン耐性因子であること、並びに世界各国の臨床分離株のゲノムデータベースの解析からも保有が確認されていることから研究・臨床的インパクトが大きいものと判断し主な解析対象とした。現在までに蛋白の機能解析、立体構造解析、ゲノム情報解析を実施し論文投稿できる段階まで至っている。以上より、総合評価として(1)当初の計画以上に進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

本年度はQrtA遺伝子の更なるゲノム情報解析、並びにQrtAの由来と考えられるVagococcus菌と腸球菌とのプラスミドの伝達について解析を進め、プラスミド・薬剤耐性遺伝子の伝播の可能性について明らかにしたいと考えている。また同時に当初の予定通りpELF1型プラスミドの複製伝達関連遺伝子の同定についても、併せて進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初の研究計画と異なる研究課題が主となったため、次世代シークエンス試薬などの試薬代を計上しなかったために次年度使用額が発生した。本年度は同実験を計画しており、試薬代として活用させていただく予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] Harvard Medical School(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Harvard Medical School
  • [学会発表] Enterococcal linear plasmids adapt to Enterococcus faecium and spread within multidrug-resistant clades.2023

    • 著者名/発表者名
      橋本 佑輔
    • 学会等名
      第53回レンサ球菌研究会
  • [学会発表] 腸球菌のpELF1型線状プラスミドと新規薬剤排出ポンプ遺伝子2023

    • 著者名/発表者名
      橋本 佑輔
    • 学会等名
      第52回薬剤耐性菌研究会
  • [学会発表] Analysis of a novel drug resistance determinant and epidemiology of pELF1-type linear plasmid associated with multidrug resistance in vancomycin-resistant enterococci detected isolated in a metropolitan aquatic environment in Vietnam2023

    • 著者名/発表者名
      橋本 佑輔
    • 学会等名
      第6回国際腸球菌学会
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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