研究課題
唾液は簡便に採取可能な臨床検体である。唾液検体を用いたSARS-CoV-2抗原検査は、鼻咽腔ぬぐい液検体と比較して陽性率が著しく低く、唾液中の成分が抗原抗体反応を抑制していることが示唆された。本研究では、唾液検体を用いたSARS-CoV-2抗原検査を開発することである。このために、唾液検体が現行の抗原検査を抑制する機序を明らかにし、この情報を基に金属コロイドProteinG粒子をエンハンサーとして抗原検査を搭載したSARS-CoV-2抗原検査を開発・臨床評価する。
3: やや遅れている
複数のプロテアーゼによってSARS-CoV-2 Nタンパク質が分解されること確認している。しかし、Nタンパク質分解を完全に防ぐ抽出液組成の見出すことが出来ていない。分解されたNタンパク質はC末端側が蓄積することを確認している。C末端側Nタンパク質を認識するモノクローナル抗体を複数獲得しているが、抗原検査として利用するには低い。
Nタンパク質のC末端側を認識するモノクローナル抗体のスクリーニングを行う。唾液検体用の抗原抽出液を最適化する。アルカリ性のTris緩衝液(pH=8以上)や溶解試薬であるN-アセチルシステイン(NAC)及び水酸化ナトリウム(NaOH)、エタノールを様々な濃度で添加した唾液用抽出液を作製する。プロテアーゼ阻害剤の最適化も実施する。様々なサイズの金属コロイドを標識としたProteinG粒子をエンハンサーとして用いた高感度な抗原検査を作製する。金属コロイドProteinGエンハンサーを従来の金コロイド標識IgGに組み合わせることで抗原検査の感度を向上させる。
次年度も継続してモノクローナル抗体を探索する。
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Heliyon
巻: 9 ページ: e20913