研究課題/領域番号 |
22K16381
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
宮原 敏 産業医科大学, 医学部, 講師 (50878329)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | レプトスピラ症 / スフェロイド / 肝細胞 / 感染症 |
研究実績の概要 |
本研究では、in vivoに近い宿主-病原体相互作用を再現できるヒト肝臓スフェロイドにレプトスピラを感染させるモデルを新たに確立し、菌体の細胞への付着、侵入、肝細胞結合の離開の現象に関与する、宿主細胞側、病原体側の因子および機序を明らかにすることを目指す。2023年度までに比較的安価なラット初代肝細胞を用いて、肝細胞スフェロイドの培養環境、手技を既報に従って確立した。ラット肝細胞スフェロイドに病原性レプトスピラを感染させると、細胞表面に接着することが確認された。 また、既知の疾患モデルであるハムスターを使用して、病原性レプトスピラL495株感染後の肝臓における病理組織学的解析を行い、各種mRNA発現量を定量PCRで測定した。これにより動物感染モデルとスフェロイド感染モデルを比較し、妥当性を検討する上で必要な基礎的データを得ることができた。 ハムスター感染モデルで生じる筋病変について、浸潤する免疫細胞ではなく、菌体が筋肉に侵入することで筋線維の破壊が起こることを論文にまとめ、報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラット初代肝細胞を使用して、スフェロイドの培養方法や感染実験、解析方法の確立を進めてきた。ヒト初代肝細胞は、予定より入手に時間がかかったが、国内メーカーより購入することができた。今年度、ヒト肝細胞スフェロイドを培養、感染実験を行い、予定していた研究を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
ラット肝細胞で確立した手技を応用して、ヒト初代肝細胞を用いてスフェロイドを作成する。また、病原性レプトスピラL495株を感染させたスフェロイドを形態学的、生化学的に解析し、疾患モデルとしての妥当性を検証する。さらに菌体の肝細胞への接着、侵入に必要な因子、細胞結合の離開に関わる分子メカニズムについて解析をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、本研究課題から生じた成果を国際学会で発表し、論文として掲載された。国際学会の参加費用、論文の掲載料が物価上昇および円安の影響で、想定よりも高くなったため、50万円の前倒し請求を行った。そのため若干の差額が生じることとなった。
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