研究課題/領域番号 |
22K16407
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三浦 雅臣 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (00928567)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | GLP-1 / SIRT1 / 腸管内分泌細胞 / 糖尿病 / 肥満症 |
研究実績の概要 |
SIRT1によるL細胞数制御の解明を目的とし、高脂肪食を負荷したVilKOマウス、Ngn3(Neurogenin3)KOマウス、SIRT1トランスジェニックマウスそれぞれの表現型を詳細に解析した。その結果、腸管上皮の内分泌前駆細胞の細胞周期の進行が、腸管内分泌細胞数とGLP-1分泌を規定する可能性が示唆された。そのメカニズムに関して、オルガノイド培養系を用いてSIRT1が内分泌前駆細胞においてβカテニン脱アセチル化を介して細胞周期を調節するという結果を得た。絶食下においても腸管のSIRT1が亢進することで、腸管内分泌細胞は減少する結果となり、SIRT1トランスジェニックマウスと同様の表現型が得られることが確認できた。 L細胞の制御において、内分泌前駆細胞におけるNgnの活性亢進が重要であることが示唆されたため、内分泌細胞数やGLP-1分泌を増加させうる生物活性物質の探索を行った。 具体的には、Neurogenin3のプロモーター領域をpGL4-lucベクターにつなぎ、HEK293細胞にトランスフェクションさせた細胞を用い、天然化合物ライブラリーの中からスクリーニングを行った。その結果、一部の物質において、Luciferase活性が顕著に高い物質、すなわちNeurogenin3を強力に活性化しうる物質が同定され、腸管内分泌細胞数を増加させうる物質の存在が示唆された。また、GLUTag細胞を用いたスクリーニングにより、GLP-1分泌を促進する物質の存在も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SIRT1によるL細胞数制御に関しては、VilKOマウス、Ngn3KOマウス、SIRT1トランスジェニックマウスの解析を終え、オルガノイド培養系を用いたメカニズム解析も行った。βヒドロキシ酪酸を用いたGLP-1分泌制御実験についても進行中であり、また、内分泌細胞数やGLP-1分泌を増加させる生物活性物質の探索についても実験を進めており、いくつかの物質において内分泌細胞数・GLP-1分泌を増加させる物質が特定できている。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には研究実施計画に沿った形で進めるが、βヒドロキシ酪酸によるGLP-1分泌促進効果が想像以上に認められない一方で、βヒドロキシ酪酸による新たな腸管への効果が認められるため、その効果について掘り下げて実験を進める予定である。
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