研究実績の概要 |
本研究の目的は、(1) 日本人のクッシング病患者における、USP48遺伝子の体細胞変異 率を示すこと、(2) USP48遺伝子変異とCK2を介した細胞増殖関連シグナル伝達経路との関連性を解明し、その関連タンパク質の変化をUSP48遺伝子変異陽性クッシング病腫瘍検体における免疫染色にて示すことである。これにより、本邦のクッシング病症例における遺伝子変異の実態ならびに新規治療機序の解明を目指している。 当該年度は、まず上記(1)の研究に着手した。手術により摘出されたクッシング病の腫瘍検体(FFPE組織切片)より、DNAの抽出を行なった。抽出したDNAを用いて、USP8遺伝子変異陰性の腫瘍検体に関して、USP48遺伝子変異の有無を確認した。USP48遺伝子はp.M415Iまたはp.M415Vが変異のホットスポットであることが既知であり、同部位を標的としてサンガーシークエンスでの解析を行なった。これまでに、計35検体の解析を行ない、内2検体(5.7%)でUSP48遺伝子変異を認めた。変異部位はともに既知のp.M415Iであった。 次に上記(2)の研究に着手した。AtT20細胞株を用いた検討を予定しており、同細胞へトランスフェクションするため、先ずは遺伝子変異を含む合成USP48DNAの作成を行なった。既知のp.M415I(c.1245G>C, c1245G>Aの2種), p.M415V(c.1243A>G)の遺伝子変異を含む、合成USP48DNAの作成に成功した。
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