研究実績の概要 |
1型糖尿病患者222例(急性発症141例、緩徐進行81例)を内因性インスリン分泌能(空腹時血清Cペプチド)により、保持群≧0.6ng/ml(n=39)、微少残存群0.02~0.6ng/ml(n=94)、枯渇群<0.02ng/ml(n=89)の3群に分け、各臨床指標、遺伝因子を比較検討した。1)3群間での各臨床指標の比較:発症年齢は保持群48.0±16.6歳、微少残存群43.1±16.8歳、枯渇群35.5±15.9歳で枯渇群は保持群(p<0.001)、微小残存群(p<0.05)より有意に若年であった。罹病期間は、保持群9.9±12.9年、微少残存群5.7±9.5年、枯渇群13.8±11.6年で、枯渇群が微小残存群(p<0.001)、保持群(p<0.05)より有意に長期間であった。BMIは、保持群22.0±3.2、微少残存群20.9±3.6、枯渇群22.2±4.2で、枯渇群が微小残存群より有意に高値であった(P<0.05)。(2)残存インスリン分泌能と遺伝因子との関連:同意を取得した207例において、空腹時血清Cぺプチドを目的変数、HLA疾患感受性ハプロタイプの遺伝子型(DR4/DR4, DR9/DR9, DR4/DR8, DR4/9, DR2)保有の有無、発症年齢、罹病期間、甲状腺自己免疫の有無、BMIを説明変数とし、重回帰分析をおこなったところ、DR4/DR9の保有(標準偏回帰係数-0.26、P<0.0121)と罹病期間(標準偏回帰係数-0.0104、P<0.0073)が有意な負の相関を示し、DR4/DR9を保有すること、または罹病期間が長いことが残存インスリン分泌能の低値に寄与する独立した規定因子であることが明らかとなった。
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