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2022 年度 実施状況報告書

脂質異常症ワクチンの適応拡大を目指した基盤研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K16429
研究機関熊本大学

研究代表者

深水 大天  熊本大学, 病院, 医員 (00908006)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワードANGPTL3 / ワクチン / 脂質異常症 / NAFLD / NASH
研究実績の概要

脂質異常症の関連疾患である心臓血管病やNAFLDが世界的に増加しているが、これらの治療選択は十分でない。このような中、申請者はANGPTL3を標的とした脂質異常症ワクチンが過食肥満モデルマウスの脂質プロファイルを改善するProof of conceptを得た(Cell Reports Medicine 2021)。本申請研究では、動物モデルを用いた検討により、同ワクチンのNAFLD/NASH-肝臓がんおよび動脈硬化病態進展に対する効果と安全性を明らかにする。本申請研究は脂質異常症関連疾患である動脈硬化および/NAFLD/NASH-肝臓がん治療法開発のための需要な基盤となる。
現行のワクチンデザインではB細胞エピトープ部位がヒトとマウスの共通配列を示す10アミノ酸から構成されるが、本アミノ酸配列に対し更に3アミノ酸短縮したエピトープでも同等の脂質異常症改善効果があることが示唆された。この結果により自己免疫疾患発症のリスクをさらに低下させることが期待される。さらには、共同研究企業であるKMバイオロジクス社とファンペップ社とともに、T細胞エピトープ等を含めたワクチンデザインの最適化を行い、動物実験で検証を行っている。現行のANGPTL3ワクチンによる動脈硬化進展に対する効果は、B6.KOR/StmSlc-Apoeshl (自然発症Apoe欠損) マウス高コレステロール負荷モデルを用いた検討により確認された。ANGPTL3ワクチンのNAFLD/NASHがんモデルに対する効果検討についても計画通り進捗している。
知的財産権に関しては、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)支援のもとでPCT出願が完了しており(PCT/JP2022/020850)、2023年度にはJSTに権利化支援依頼の申請を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現行のワクチンデザインではB細胞エピトープ部位がヒトとマウスの共通配列を示す10アミノ酸から構成されるが、本アミノ酸配列に対し更に3アミノ酸短縮したエピトープでも同等の脂質異常症改善効果があることが示唆された。この結果により自己免疫疾患発症のリスクをさらに低下させることが期待される。さらには、共同研究企業であるKMバイオロジクス社とファンペップ社とともに、T細胞エピトープ等を含めたワクチンデザインの最適化を行い、動物実験での検証を行っている。予備的な実験では、期待された結果が得られている。現行のANGPTL3ワクチンによる動脈硬化進展に対する効果はB6.KOR/StmSlc-Apoeshl (自然発症Apoe欠損) マウス高コレステロール負荷モデルを用いた検討により確認された。ANGPTL3ワクチンのNAFLD/NASHがんモデルに対する効果検討についても計画通り進捗している。
知的財産権に関しては、PCT出願が完了しており(PCT/JP2022/020850)、2023年度にはJSTに権利化支援依頼の申請を行う予定である。

今後の研究の推進方策

[1] ANGPTL3ワクチンの最適化: 現在は、共同研究企業とともに、ワクチンデザインの改良を行っており、予備的な実験では期待された結果が得られている。2型糖尿病モデルマウス等の実験動物で治療効果を検討中である。[2] ANGPTL3ワクチンの動脈硬化進展に対する効果検討: 動物実験で本ワクチンの動脈硬化に対する有効性が示唆された。改良ワクチンでの検討も行う。[3] ANGPTL3ワクチンのNAFLD/NASHがんモデルに対する効果検討:肥満を伴うヒトNAFLD/NASH患者病態に近いマウスモデルとして、MC4R欠損マウスWestern diet負荷モデルを用いる。2022年度に同マウスの繁殖に成功し、2023年度から実験を開始する。本検討ではANGPTL3ワクチンの効果を長期にわたり持続させる目的で、前述のプロトコルに加え、ブースターにより追加免疫を行う予定である。[4] ヒトNASH患者における肝臓ANGPTL3発現量とNASH病態との関連解析についても今後着手する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] Increased numbers of pre-operative circulating monocytes predict risk of developing cardiac surgery-associated acute kidney injury in conditions requiring cardio pulmonary bypass2022

    • 著者名/発表者名
      Okadome Yusuke, Morinaga Jun, Yamanouchi Yoshinori, Matsunaga Eiji, Fukami HirotakaSakaguchi Takeshi, Hirayama Ryo, Ishimura Tatsuhiro, Kuwabara Takashige, Usuku Koichiro, Yamamoto Tatsuo, Mukoyama Masashi, Suzuki Ryusuke, Fukui Toshihiro, Oike Yuichi, et al
    • 雑誌名

      Clinical and Experimental Nephrology

      巻: 27 ページ: 329~339

    • DOI

      10.1007/s10157-022-02313-x

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] アンジオポエチン様因子3(ANGPTL3)を標的とした脂質異常症および関連疾患治療ワクチンの開発2022

    • 著者名/発表者名
      深水 大天、森永 潤、松永 英士、中神 啓徳、森下 竜一、桒原 孝成、尾池 雄一、向山 政志
    • 学会等名
      Science Pioneers Consortium 2022
  • [学会発表] 健康長寿を阻害する動脈硬化関連疾患へのワクチン治療薬開発2022

    • 著者名/発表者名
      深水 大天、森永 潤、中神 啓徳、森下 竜一、向山 政志、尾池 雄一
    • 学会等名
      第18回 脳心血管抗加齢研究会学術大会
  • [学会発表] Development of a therapeutic vaccine for dyslipidemia and related diseases targeting angiopoietin-like protein 3 (ANGPTL3).2022

    • 著者名/発表者名
      深水 大天、森永 潤、中神 啓徳、桒原 孝成、森下 竜一、尾池 雄一、向山 政志
    • 学会等名
      第29回 国際高血圧学会
    • 国際学会
  • [学会発表] 深水 大天、森永 潤、中神 啓徳、桒原 孝成、向山 政志、尾池 雄一2022

    • 著者名/発表者名
      健康長寿を阻害する動脈硬化関連疾患へのワクチン治療薬開発
    • 学会等名
      第54回 日本動脈硬化学会総会・学術集会
  • [学会発表] アンジオポエチン様因子3(ANGPTL3)を標的とした脂質異常症および関連疾患治療ワクチンの開発2022

    • 著者名/発表者名
      深水 大天、森永 潤、中神 啓徳、森下 竜一、桒原 孝成、尾池 雄一、向山 政志
    • 学会等名
      第95回日本内分泌学会学術総会
  • [学会発表] 臨床研究に基づく治療候補選定及びangiopoietin様 蛋白3(ANGPTL3)を標的とした脂質異常症ワクチンの開発2022

    • 著者名/発表者名
      深水 大天、森永 潤、中神 啓徳、森下 竜一、桒原 孝成、尾池 雄一、向山 政志
    • 学会等名
      第119回 日本内科学会総会・講演会
  • [産業財産権] 脂質異常関連疾患治療薬2022

    • 発明者名
      尾池 雄一、森永 潤、深水 大天
    • 権利者名
      尾池 雄一、森永 潤、深水 大天
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2022/020850
    • 外国

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公開日: 2023-12-25  

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