研究課題/領域番号 |
22K16443
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐々木 一樹 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (20745442)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 肝移植 / 間葉系幹細胞 / 制御性T細胞 / 免疫寛容 |
研究実績の概要 |
近年、臓器移植術後の長期免疫抑制剤内服による有害事象を回避すべく、制御性T細胞(Treg)や骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)等の輸注による免疫寛容誘導の臨床試験が世界的に行われている。しかし、それらの細胞はドナー、もしくはレシピエントより採取後、生体外で培養の上投与されているため、細胞培養に伴う労力やコスト、さらには微生物の混入や染色体不安定性など生物学的安全性についての懸念がある。ペプチドの中には、生体外の培養や輸注を必要とせず免疫調整作用や組織修復作用を発揮するものが存在する可能性がある。そのようなペプチドの存在が確認されれば、上記に掲げた問題点を回避でき、免疫抑制剤の使用量の減少や、使用中止につながる可能性がある。本研究では、同種異系ラット肝移植モデルを使用し、肝グラフトの生着期間の延長が得られるペプチドが存在するかを検討することとした。 2022年度は、2cuff法によるラット全肝移植モデルの樹立に取り組んだ。冷阻血時間は3時間以内、温阻血時間は20分以内とした。 1、 ドナーにLEWラット、 レシピエントにLEWラットを用いて作成した同種同系ラット全肝移植モデルで、最長8か月以上の生存が得られた。 2、 ドナーにDAラット、 レシピエントにLEWラットを用いて作成した同種異系ラット全肝移植モデルで、最長17日の生存が得られた。 2023年度は同種異系ラット肝移植モデルに対してペプチド投与を行い、投与スケジュールの最適化を行い、全生存期間、血液生化学データ、組織学的・免疫学的観点で、ペプチド非投与群に対して、ペプチド投与の治療効果を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2cuff法によるラット全肝移植モデルの手技を確立した。2023年3月31日時点で連続する10例中8例で1週間以上の生存が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
上記作成した同種異系ラット全肝移植モデルに対して、ペプチド投与群/非投与群に分け、ペプチドによる治療効果を全生存期間、血液生化学データ、組織学的・免疫学的観点で検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラット肝移植モデルに対するペプチドの効果を検証するため、動物購入費、抗体等の消耗品の購入費に充てるため、上記使用額が必要です。
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