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2023 年度 実施状況報告書

O型糖鎖修飾による乳癌関連分子の機能制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K16448
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

高橋 一人  福島県立医科大学, 保健科学部, 講師 (70791606)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードO型糖鎖 / 糖転移酵素 / GALNT6 / 乳癌
研究実績の概要

乳癌においてO型糖鎖糖転移酵素GALNT6の発現亢進と癌の増悪の関連性が報告され、GALNT6が予後予測や抗癌剤の標的として注目されている。我々は、GALNT6を欠損させた乳癌細胞と親株の比較解析によって、GALNT6による糖鎖修飾が乳癌関連分子に果たす役割を明らかにし、どのように乳癌の進展に関与しているかを解明することを目的としている。
令和5年度は、昨年度作出したGALNT6欠損乳癌細胞(MCF-7)の解析結果が、オフターゲットによる影響ではないことを確認するため、GALNT6欠損MCF-7のレスキュー株を作出した。次いで、GALNT6欠損MCF-7の生物学的特性を評価するため、細胞増殖試験や創傷治癒アッセイを行い、GALNT6欠損MCF-7が親株より細胞増殖速度や細胞遊走速度が遅いことを見出した。また、GALNT6欠損MCF-7と親株の細胞形態を比較すると、GALNT6欠損MCF-7の方が細胞結合性が強く、細胞集塊辺縁が滑らかな類円形のコロニーを形成した。本形態変化は、GALNT6が細胞接着分子、細胞骨格や細胞増殖因子を制御していることを支持する結果と考えられた。さらにGALNT6の基質タンパク候補としてこれまで報告されているエストロゲン受容体やE-カドヘリンなどの乳癌関連分子の発現解析を行ったところ、GALNT6と有意な相関は認められなかった。本結果より、これまでGALNT6の基質とされていた分子以外についても検証をするため、RNA-seq解析およびプロテオーム解析を行い、新たなターゲット分子の探索を進めているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和5年度は、作出したGALNT6欠損MCF-7の解析を進め、GALNT6による生物学的特性を明らかにしたが、GALNT6の基質タンパクとして想定していた分子の変動は確認できず、新たなターゲット分子の探索が必要となった。現在、RNA-seq解析およびプロテオーム解析を進めているが、得られたデータを解析し、ターゲット分子候補を同定するまでに相応の時間を要することから、進捗状況を「やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

GALNT6欠損MCF-7、親株およびGALNT6欠損MCF-7レスキュー株を対象として、RNA-seq解析およびプロテオーム解析を行い、GALNT6欠損MCF-7特異的に変動する基質タンパク候補を同定する。また、より客観的にGALNT6による乳癌の細胞制御機構を評価するため、他の乳癌細胞株や非乳癌細胞についても解析を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

令和5年度は、GALNT6の基質タンパクとして想定していたエストロゲン受容体やE-カドヘリンなどの乳癌関連分子を対象として、細胞内局在解析、レクチンブロットやMS解析等を行う予定としていた。しかし、GALNT6欠損MCF-7と親株の比較で、これら分子とGALNT6の発現に関連性を認めず、予定していた実験を実施するに至らなかったため差額が生じた。本費用は、現在進めているRNA-seq解析やプロテオーム解析によって新たなGALNT6の標的タンパク同定後、これら標的タンパクの機能や構造解析に使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Brain‐specific glycosylation of protein tyrosine phosphatase receptor type Z (<scp>PTPRZ</scp>) marks a demyelination‐associated astrocyte subtype2023

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Kazuto、Kanekiyo Kenji、Sakuda Kanoko、Muto Yui、Iguchi Masahiro、Matsuda Nozomu、Hashimoto Yuko、Kanai Kazuaki、Ogawa Haruko、Hirase Hajime、Kakita Akiyoshi、Bizen Norihisa、Takebayashi Hirohide、Kawaguchi Yasushi、Uzuki Miwa、Kitazume Shinobu
    • 雑誌名

      Journal of Neurochemistry

      巻: 166 ページ: 547~559

    • DOI

      10.1111/jnc.15820

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Brain-specific glycosylation enzyme GnT-IX maintains levels of protein tyrosine phosphatase receptor PTPRZ, thereby mediating glioma growth2023

    • 著者名/発表者名
      Nagai Kenichiro、Muto Yui、Miura Saori、Takahashi Kazuto、Naruse Yu、Hiruta Ryo、Hashimoto Yuko、Uzuki Miwa、Haga Yoshimi、Fujii Risa、Ueda Koji、Kawaguchi Yasushi、Fujii Masazumi、Kitazume Shinobu
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 299 ページ: 105128~105128

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2023.105128

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] O-GalNAc glycosylation determines intracellular trafficking of APP and Aβ production2023

    • 著者名/発表者名
      Tachida Yuriko、Iijima Junko、Takahashi Kazuto、Suzuki Hideaki、Kizuka Yasuhiko、Yamaguchi Yoshiki、Tanaka Katsunori、Nakano Miyako、Takakura Daisuke、Kawasaki Nana、Saito Yuko、Manya Hiroshi、Endo Tamao、Kitazume Shinobu
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 299 ページ: 104905~104905

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2023.104905

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2024-12-25  

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