研究課題
当院で内視鏡補助下皮膚/乳頭温存乳房全切除と脂肪移植による一次再建を行った症例の後ろ向きコホート研究について,”早期乳癌に対する内視鏡補助下皮膚/乳頭温存乳房全切除と脂肪移植による一次再建の有効性、安全性を検討する後ろ向き観察研究”として倫理委員会の承認を得て(承認番号 F220800020),同研究計画書に従ってデータの収集および解析を行い,”Endoscopic mastectomy followed by immediate breast reconstruction with fat grafting for breast cancer”のタイトルで論文化した.臨床ステージ 0 または I の乳癌23例に、内視鏡的にNipple-sparing mastectomyもしくはSkin-sparing mastectomyを実施し,即時脂肪移植再建を行った.年齢中央値は45歳(41~55歳)、BMI中央値は19.3 kg/m2(15.8~26.6)であった.18(78%)でSkin-sparing mastectomyが行われ、5人(22%)に対してNipple-sparing mastectomyが行われた.手術時間の中央値は295分(242~346分)であった。摘出標本の重量の中央値は133g(71~334g)で、移植した脂肪量の中央値は200mL(136~320)であった.合併症のために再手術や追加の処置を必要とした患者はなかった.追跡期間中央値56.1カ月で1例に局所再発を認め,局所切除を施行した.この再発症例は局所切除後54か月が経過し,無再発生存中である.文献的検索の限り、本報告は内視鏡的乳房切除術後即時脂肪移植再建の最初の報告である.本法は,他の自家組織による即時再建術と比較して、皮膚切開と手術時間を最小限に抑え、潜在的に合併症は発生しにくい有用な方法である.腫瘍学的安全性、整容性および患者満足度の評価のために,今後,さらなる前向き研究を実施すべきと思われた.
2: おおむね順調に進展している
臨床研究について,欧文論文としての発刊を達成したため.
臨床研究の根拠となる基礎実験を行い,その理論的背景について検証する.
基礎実験よりも臨床研究に重点をおいて活動した結果,次年度使用額が生じた.実験,論文投稿費用および学会発表費用に充当する予定である.
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Breast Cancer
巻: 31 ページ: 476~484
10.1007/s12282-024-01561-x