研究課題/領域番号 |
22K16454
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
増田 隆洋 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40649092)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 新型コロナウィルス / SARS-CoV-2 / 誤嚥性肺炎 / ACE2受容体 |
研究実績の概要 |
本研究では、慢性誤嚥性肺炎は肺組織中のACE2発現を増加させCOVID-19重症化のリスク因子となり得るか?をテーマとしている。申請者は、本研究でまずラットを用いた誤嚥性肺炎モデルの作成を行った。消化管が成熟していると考えられる8週齢Wistar系雄性ラットを対象とし、上腹部を約1.5 cm開腹し、前胃と腺胃の境界(limiting ridge)を2-0絹糸で結紮後、幅2 mmの18 Frネラトンカテーテル片を用いて幽門輪を被覆した。これにより、胃容積の縮小と胃排出障害を形成し、胃内容物の食道への逆流を誘発した。術後2週間でラットの肺検体を病理学的に評価したところ、肺炎像は軽微であった。術後3週間での病理学的評価で肺野および気管支周囲に炎症細胞浸潤、肉芽形成および杯細胞の過形成がみられ、慢性誤嚥性肺炎の所見を得られた。しかしながら、免疫染色ではACE2発現は減少しており、慢性不顕性誤嚥性肺炎がSARS-COV-2の感染リスクとなり得るとの仮説を証明するには至らなかった。誤嚥誘発期間が短く、慢性モデルとしては不十分であった可能性があるため、現在、術後8週間での検体を用いた再検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
慢性誤嚥性肺炎モデルの作成に成功し、ACE2発現の検討を行った。しかしながら、免疫組織学的にはACE2の過剰発現はみられず、仮説を証明するには至らなかった。現在、術後8週間での検体を用いた再検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
誤嚥誘発期間を3週間から8週間へ延長し、再検討を行うこととした。
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次年度使用額が生じた理由 |
誤嚥誘発期間3週間で作成したモデルを用いた検討で、病理学的にACE2発現が抑制されていることが予想されたので、費用がかかる次世代シーケンサー解析を行う必要がなくなったため。現在、誤嚥誘発期間を8週間に延長し、再検討を行っている。
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