研究実績の概要 |
令和4年度の計画は、①マウスiHep樹立における6個の転写因子の機能解析、②薬剤誘導性に転写因子群を発現してiHepに分化転換するヒトiPS細胞株の樹立、の2点であった。 先ずは①についてであるが、既に同定した6個のコア転写因子候補(Hnf4a, Foxa3, Cebpa, Cebpd, Hnf6, Onecut2)について、1因子ずつ抜いて5因子で作製したiHep(6F-1F_iHep)を中心に、RNA-seqで遺伝子発現解析を実施した。クラスタリングでは2因子(Hnf4a+Foxa3)によるiHep(2F_iHep)と6因子によるiHep(6F-iHep)でクラスターがわかれており、DEG解析で6F_iHepの方が2F_iHepよりもCyp3a11やCps1など主要な成熟肝細胞マーカーの発現が高かった。解析によりHnf4aおよびFoxa3は間葉上皮転換・内胚葉分化に重要であることが確認された一方で、Hnf4a, Foxa3以外の残り4因子について、それぞれ6因子から抜いて作製したiHep(6F-1F_iHep)は、クラスタリングや主成分分析において6F_iHepと非常に近く、各4因子の役割の違いが明確にならなかった。そのため、各4因子について追加の解析を行っているところである。 続いて②についてであるが、レンチウイルスベクターにヒトの各転写因子を搭載してヒトiPS細胞に強制発現しようとしたが、入手した各転写因子のplasmidに問題があったため、作業が大幅に遅れ、ヒトiHep樹立のための転写因子を確定させるスクリーニングが実施できていない。現在トラブルは解決し、上記のスクリーニングを5月から開始するところである。
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