研究課題/領域番号 |
22K16465
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
良元 俊昭 徳島大学, 病院, 特任助教 (20758198)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 青色LED光 / 大腸癌 / 光受容体 / オプシン / Opn3 / 腫瘍微小環境 / CAF / TAM |
研究実績の概要 |
薬剤耐性には腫瘍微小環境が大きく関与しており青色光の腫瘍微小環境への影響を評価した。 【方法】①HCT116のconditioned medium (CM)を用いヒト線維芽細胞を培養後、青色LED照射(465nm・30mW/cm2・30min)群と対照群に分け48時間後にCAFの活性を評価。さらにLED照射+/-のCAF-CMでHCT-116の培養を行いmigration assay施行。②M0マクロファージをHCT-116のCMで48時間培養後、青色LED照射群とcontrol群に分けTAMの活性とOpn3発現について評価。さらにLED照射+/-のTAM-CMでHCT-116の培養を行いmigration assay施行。③上記CAF/TAMのCMでHCT-116の培養を行いPD-L1発現について評価。④4週齢 BALB/cマウス直腸粘膜下にマウス大腸癌細胞CT-26を注入し、1週間後より青色LED(465nm・30mW/cm2・30min)/week照射し抗腫瘍効果を検討。 【結果】①照射群でCAFのIL-6発現が有意に減少した。照射ありのCAF-CMで培養したHCT-116は遊走能が低下した。②照射群では対照群と比してCD163,CD206発現が低下し、またVEGF分泌が有意に減少した。照射ありのTAM-CMで培養したHCT-116は遊走能が低下した。PCRでCAF/TAMのOpn3発現を認めた。③CAF/TAMのCMで培養したHCT-116ではPD-L1発現が上昇し、照射ありのCAF/TAM-CMで培養したHCT-116のPD-L1発現は照射なしよりも低下した。④照射群では腫瘍サイズが減少し、M2マクロファージマーカー陽性のリンパ球が減少した。 【まとめ】青色LED光は腫瘍微小環境に対しても抑制効果を発揮し腫瘍抑制に働きうることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
青色LED光の大腸癌腫瘍微小環境に対する抑制効果、それによる腫瘍悪性度抑制効果についての検討は上述のように進展している。近年、種々の腫瘍に対して青色光が抗腫瘍効果を持つことが報告され、青色光照射によるがん治療の可能性が示唆されている。我々もこれまでに、青色LED光が大腸癌細胞の青色光受容体opsin3(Opn3)を介しオートファジーを誘導し、腫瘍増殖抑制効果を示すことを報告してきた。今回、CAF/TAMといった腫瘍微小環境にも青色LED光が抑制効果を持つことが明らかとなった。CAF/TAMの抑制により腫瘍悪性度が減弱するとともに薬剤耐性も低下することが予想される。CAF/TAMにおけるOpn3発現の意義に関する検討、大腸癌の薬剤耐性解除については今後の検討課題である。
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今後の研究の推進方策 |
CAF/TAMへ青色LED光を照射することによる大腸癌細胞の薬剤耐性解除についての検討を行う。照射ありのCAF/TAM-CMで培養したHCT-116に対し5-FU投与を行い、照射なしのCAF/TAM-CMで培養したHCT-116と比較して生細胞数がどう変化するか評価する。また薬剤耐性大腸癌細胞を用い、Opn3発現を評価し青色LED光の効果について検討する。薬剤耐性大腸癌細胞と通常のHCT-116を用い、青色LED光照射及び5-FU投与を行い、その影響について検討する。以上のように、青色LED光照射による薬剤耐性解除に注目しつつ、大腸癌及び腫瘍微小環境に対する光治療実用化に向けた基礎的実験を引き続き行っていく。
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