研究課題/領域番号 |
22K16466
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
西山 加那子 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (50763348)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | HER2陽性乳癌 / HER2 / EGFR / CNKSR1 / Protein phosphatase / PTPRH |
研究実績の概要 |
乳癌の約20%を占めるHER2陽性乳癌は増殖能が高く予後不良である。現行の抗HER2療法 はHER2陽性乳癌治療に効果的であるが、長期治療に伴う薬剤耐性化や副作用の問題が依然 として存在する。従って、HER2陽性乳癌特異的な新規標的分子の同定とその制御法の開発が急務である。申請者らは、HER2陽性乳癌細胞において、HER2のヘテロパートナーであるEGFRを不活性化するphosphatase PTPRHの新たな活性化機構として、CRL3-KCTD10-RhoB-CNKSR1システムを明らかにした。また、この分子機構への介入により培養HER2陽性乳癌細胞の増殖・浸潤を抑えることができることを示すとともに、上記分子システムが新たな標的分子として有用であることを示してきた。しかしながら、HER2自体を抑制するphosphataseの同定には至っていない。HER2陽性乳癌細胞株SK-BR-3細胞でのCNKSR1ノックダウン下では、明らかにHER2のリン酸化は抑制されることから、PTPRH同様にHER2 phosphataseもCNKSR1に捕捉されることが予想される。そこで本年度は、これまでにAlphaScreen法にて同定してきたCNKSR1に結合する15種のphosphataseをそれぞれ特異的siRNAを用いてノックダウンすることで、CNKSR1ノックダウン下で誘導されるHER2のリン酸化抑制がキャンセルするsiRNAを選別した。その結果、ENPP3、PTPRM、PTPRJが候補phosphataseとして選別された。現在、これら3種のphosphataseがリン酸化HER2を標的とするphosphataseの本体であるかどうか、詳細な解析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HER2陽性乳癌細胞においてHER2はその細胞増殖促進の強力なドライバーであり、よって治療標的分子となることから、HER2自体のキナーゼ活性を阻害する薬剤の開発・応用が進み、臨床で成果を上げて来ている。しかし、キナーゼ活性阻害の特異性を上げることにも限界があることから、全く別な角度からのアプローチが望まれてきている。我々はこれまでに 明らかにされてこなかったphosphataseの活性制御機構の一端を、リン酸化HER1のphosphataseであるPTPRHに結合しその活性を負に制御する CNKSR1を同定したことを端緒に、リン酸化HER2 phosphataseの同定とその制御機構の解明を目的として解析を進め、ENPP3、PTPRM、PTPRJ候補phosphataseとして同定するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
リン酸化HER2 phosphataseの候補phosphatase としてENPP3、PTPRM、PTPRJを同定したことから、今後さらなる検証を進め、その制御因子が CNKSR1であるかどうか、新たな制御因子が存在するのかどうかを明らかにする。その上で、リン酸化HER2 phosphataseと制御因子との相互作用を阻害し、phosphataseを活性化する低分子性化合物のスクリーニングを進める。
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