研究課題
前年度は、miRNA-mRNA比較統合解析により、腎ラブドイド腫瘍(RTK)の腫瘍関連遺伝子の候補としてNeuropilin 1(NRP1)を同定した。さらに、RTK細胞においてNRP1の発現を抑制すると、細胞浸潤能と遊走能が抑制されることがわかった。今年度は、RTK細胞においてNRP1の発現抑制により発現が変化する遺伝子を絞り込むことを目的に、マイクロアレイを用いた網羅的発現解析を行った。結果、RTK細胞においてNRP1の発現抑制により発現が低下する遺伝子を28個、発現が上昇する遺伝子を24個抽出した。抽出した遺伝子群には細胞運動に関与するものも含まれており、これらの遺伝子を対象に、NRP1との関係性やRTK細胞における役割について検討を継続している。一方、miRNA-mRNA比較統合解析により、NRP1を標的とし、かつRTK細胞株において低発現である8つのmiRNAを同定した。そのうち、miR-320aとmiR-320bについてqRT-PCRを施行したが、コントロールのヒト胎児正常腎由来細胞株HEK293Tと比較して、RTK細胞株において低発現であることを確認できなかった。また、NRP1以外のRTK腫瘍関連遺伝子の探索も継続した。miRNA-mRNA比較統合解析により、RTK細胞で高発現のmiRNAの標的遺伝子であり、かつRTK細胞株において低発現である28の遺伝子を抽出した。この28の遺伝子を対象にGO enrichment解析を行い、RTK細胞における発現変動遺伝子の機能的特徴を検討したが、有意な結果は得られなかった。以上より、本研究期間内に得られた結論として、NRP1はRTKにおいてOncogeneとして腫瘍細胞の浸潤や遊走を促進する可能性があり、RTKの新たな治療標的となりうることが示唆された。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Oncology Letters
巻: 27 ページ: 128
10.3892/ol.2024.14260