研究課題/領域番号 |
22K16477
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
鶴田 覚 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (50814365)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | オルガノイド / 膵臓癌 / 胆道癌 / 癌微小環境 / 膵星細胞 |
研究実績の概要 |
膵臓癌および胆道癌はその他の固形癌と比べ特に予後不良な難治性悪性疾患とされる。近年のトランスクリプトーム解析の進歩は生物学的因子の重要性を明らかにしたが、従来の疾患モデルは実臨床での癌組織におけるHeterogeneityの再現性やその挙動との乖離が問題である。近年の三次元培養技術の発展により、新たな表現型解析の手段として癌オルガノイドの作製が報告されるようになった。本研究では、外科的切除に至った膵臓癌・ 胆道癌試料からオルガノイドを作製後、線維芽細胞・神経細胞を導入しin vitroで癌微小環境を再現し、臨床における癌組織の生物学的特性・表現型を反映したバイオモデルの開発を行う。また、患者特異的癌オルガノイドの形態学的および分子生物学的検証を行い、臨床データを組み合わせることで病勢や予後予測、治療開発に有用な新規バイオマーカーや治療ターゲットの探求を行うことを最終的な研究目標とする。昨年度は弘前大学医学部附属病院での倫理申請(研究課題名 『新規バイオモデルとしての患者腫瘍由来三次元オルガノイド培養システムの確立と統合的解析』)承認下で、手術に至った膵臓癌と遠位胆管癌の手術検体から 弘前大学病理生命科学講座と協力しサンプル採取を行い膵臓癌および胆道癌オルガノイドの作成を行い、オルガノイド創出とその維持培養・凍結保存によるバンク化が可能である環境を整えた。癌オルガノイドが患者検体のタンパク質表現パターンを再現していることも確認された。今年度は、膵臓癌により着目し癌微小環境構成細胞である膵星細胞の細胞株の選定を行いその導入プロトコル確立へ向けて検証を開始したところである。今後は、患者手術検体およびEUS-FNAサンプルから癌オルガノイド樹立を継続しサンプル数を増やしつつ微小環境を試験管レベルで構築そのインタラクションをタンパク・遺伝子レベルでの解析を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膵臓癌および胆道癌の癌進展に関与する微小環境の実態解明を目的とした患者特異的癌バイオモデルを実現するため、手術検体から膵臓癌・胆道癌オルガノイドの作製には初年度において成功しておりそのサンプル作成に関しては継続中であり実験の基盤となるサンプルサイズは順調に増えている。しかし、それに対する微小環境導入という点においては今年度は微小環境構成要素である膵星細胞株の選定にとどまっておりその導入プロトコルやその検証には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
オルガノイドの樹立効率は決して高くなく今後はその技術的な課題も考慮しつつ、更に工程が多くなることが考慮される共培養による癌微小環境メカニズムの解明研究をより強く進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)試薬の納品が遅れたため。 (使用計画)物品費として使用する.
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