研究課題/領域番号 |
22K16484
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高田 智司 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (60594504)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 三次リンパ様構造 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、マウス膵癌同種同所移植モデルを用いて継時的なTLSの評価を行うことで、腫瘍局所の免疫状態の変化を解明し効率的にTLSを誘導する手法を同定することである。これまでの研究において、マウスに腫瘍関連TLSを発生させるモデルはまだ確立されていない。現在、膵癌研究では、KrasやP53の遺伝子変異を導入したGenetically engineered mouse model(GEMM)が盛んに用いられている。 そこでKrasLSL-G12D/+; Trp53LSL-R172H/+; Pdx1-Cre(KPC)マウス由来の膵癌細胞株を用いて、免疫が正常なマウスの膵臓に同種同所移植を行うことで、腫瘍関連TLSが観察されるか検討するモデルを考案した。 さらに膵癌に対する化学療法前後でのTLSの継時的変化を観察し、化学療法介入に伴う免疫機構の変化を評価する。また、免疫賦活作用のある薬剤で介入を行いTLSの積極的な誘導を試みることとしている。最終的には、移植した腫瘍を再度切除し、ホストの免疫機構の変化を検証する方針である。 2022年度保管してある過去のヒト膵癌検体を用いてTLSの評価を行なった。切除境界膵癌に対しGnP(ゲムシタビン+ナブパクリタキセル)もしくはFOLFIRINOX療法後に手術を行なった症例において、組織学的効果がGrade 4(完全奏功)であった症例を4例認め、これらの病理組織で腫瘍辺縁においてTLSが目立って観察されるという結果を得ることができた。 2023年度はKPCマウス由来膵癌細胞株を数種類入手し培養を行った。C57BL6マウスの膵臓に同所移植を行い、生着することが確認できた。病理組織学的検索では、膵臓実質への浸潤やリンパ球の浸潤を観察することができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス膵癌細胞株の入手が予想以上に遅れたため、以後の同所移植・再切除の評価が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はマウス膵癌細胞株を同所移植を行う。TLSの評価としてBCL-6,MECA-79の免疫染色による評価を予定している。また、免疫系の網羅的解析を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
網羅的解析を行うにあたり、検体をまとめて提出しなければならないため次年度使用額が発生している。
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