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2023 年度 実施状況報告書

オルガノイドを用いたネオアンチゲンパルスiPS細胞由来樹状細胞療法の基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K16498
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

北谷 純也  和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30596979)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードiPS 細胞 / 樹状細胞療法 / 腫瘍免疫 / 獲得免疫
研究実績の概要

担癌患者からiPS由来樹状細胞を作成するために、まず学内の倫理申請を行い、承認を得た。iPS細胞は末梢血単核球にSendaiウイルスベクターを用いて山中4因子を導入することで、各個体より安定的に樹立が可能であった。iPS細胞から樹状細胞を誘導する手順は、これまで報告してきているように、feeder free下に、造血サイトカイン(BMP4,VEGF,FLT3 ligandなど)を用いて行った。各表面化マーカーやサイトカイン産生能、遊走能などは、一般的に用いられる単球由来のそれと類似する発現を認めることを確認した。また、これら誘導したiPS由来樹状細胞が抗原提示細胞として機能しているか、自己PBMCを刺激することで、細胞傷害活性を検証した。特異的抗原としては、胃癌で発現率が高いMesothelinをアデノウイルスベクターで遺伝子を導入することで標的抗原とした。自己リンパ球から樹立したlymphoblastoid cellに同じくMesothelin遺伝子を導入し標的として、細胞傷害活性をCrアッセイで確認した。結果、Mesothelin特異的な細胞傷害活性をin vitroで確認した。オルガノイドの作成も進めており、樹立手法を変更し、新たなプロトコールでの作成を行っている。オルガノイドの樹立が安定的に行えるようになれば、次世代シーケンサーを用い、WESおよびRNA sequenceにて解析を行った後に、ネオアンチゲン予測に移る。候補となるネオアンチゲンが同定できれば、ペプチドカクテルワクチンとして、細胞傷害活性を自己のオルガノイドを標的として、評価を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

3名の末梢血単核球 (PBMC)よりiPS細胞を樹立し、feeder free下にヒトiPS由来樹状細胞への分化誘導を行った。この時点で様々な細胞表面マーカー (CD11c、CD80、CD83、CD86、CD40、 Class I、Class II、TLR2、3、4、PDL-1、TIM-3(CD209))の発現率をフローサイトメトリーで測定し、TNFα、IFNγ、IL-12p70などのサイトカイン分泌能をELISA法で測定し、成熟能の評価を行った。また、遊走能に関しては、CCR7の発現を解析したが、単核球由来の樹状細胞と類似する結果であった。抗原提示細胞としての実際の機能に関しては、in vitroでの免疫刺激モデルで行った。誘導したiPS由来樹状細胞に胃癌で発現率が高いMesothelinをアデノウイルスベクターで遺伝子を導入することで標的抗原とした。自己リンパ球から樹立したlymphoblastoid cellに同じくMesothelin遺伝子を導入し標的としてMesothelin遺伝子導入iPSDC由来樹状細胞で自己PBMCを3回刺激した後に、CD8T細胞をセルソートし、細胞傷害活性をCrアッセイで確認した。結果、3名の固体においてMesothelin特異的な細胞傷害活性を認めることをin vitroで証明した。
オルガノイド作成に関しては、やや実験が遅れている。プロトコールを少し修正し、担癌患者のオルガノイド作成を行うこととしている。

今後の研究の推進方策

オルガノイド作成に関しては、プロトコールを以下のように修正し、担癌患者のオルガノイド作成を行う。切除した腫瘍組織から壊死している部分を丁寧に取り除いた後断片化し、Liberase TH Research Gradeを3-5ml加え37度のウォーターバスで30分間インキュベートする。5分から10分ごとにピペッティングする。断片を振盪しながら37℃で10分間インキュベートする。30秒ほど静置し、上清を取り除く。TrypLE Expressを2mlほど加え、37度で15分間インキュベートする。その間、5分ごとにピペッティングを行う。その後、200g×3分で遠心を3回繰り返す。マトリゲルでペレットを混濁し、48ウェルプレートに25μLずつドームを形成する様に播種する。マトリゲルを固相化したあと、complete mediumを加える。この際Y-27632因子とPrimocin、Fungizoneを加える。培地交換は2-3日ごとに行う。オルガノイドの作成と保管に関して確立できれば、オルガノイドよりDNAを抽出し、WESおよびRNA sequenceを次世代シーケンサーで確認する。樹立した癌オルガノイドよりカラム法を用いた All Prep DNA/ RNA FFPE kit (QIAGEN 社) で用手によりDNA抽出を行う。また、患者血液から正常DNAの抽出を行う。核酸抽出後、ライブラリー構築、次世代シーケンサーによるシーケンスを行う。候補となるネオアンチゲンを予測し、候補となる12-15個のネオアンチゲンペプチドを合成する。

次年度使用額が生じた理由

オルガノイド作成に関して実験が遅れた事が原因と考えられる。プロトコールを少し修正し、担癌患者のオルガノイド作成を行うこととしているため、今後の物品経費など支出が増えると考えられる。また、その後に核酸抽出後、ライブラリー構築、次世代シーケンサーによるシーケンスを行う。候補となるネオアンチゲンを予測や、ネオアンチゲンペプチドを合成にも今後費用が必要となる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Induced pluripotent stem cell-derived dendritic cell vaccine therapy genetically modified on the ubiquitin-proteasome system2023

    • 著者名/発表者名
      Tominaga Shinta、Ojima Toshiyasu、Miyazawa Motoki、Iwamoto Hiromitsu、Kitadani Junya、Maruoka Shimpei、Hayata Keiji、Yamaue Hiroki
    • 雑誌名

      Gene Therapy

      巻: 30 ページ: 552~559

    • DOI

      10.1038/s41434-023-00388-z

    • 査読あり
  • [学会発表] がんゲノム情報をcodeしたiPS細胞由来樹状細胞を用いたがんワクチン戦略2023

    • 著者名/発表者名
      尾島 敏康, 岩本 博光, 北谷 純也, 丸岡 慎平, 冨永 信太, 山上 裕機, 川井 学
    • 学会等名
      第123回 日本外科学会定期学術集会

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公開日: 2024-12-25  

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