研究実績の概要 |
当初切除不能膵癌に対する集学的治療およびConversion手術に関する臨床研究と基礎研究を企図したが、Conversion可能な局所進行膵癌症例が見込みより大幅に少なく、Borderline resectable (BR)膵癌まで対象を拡大することとした。膵癌は予後不良な疾患であるが、FOLFIRINOX(combination chemotherapy with fluorouracil, leucovorin, irinotecan, and oxaliplatin)療法やGEM/Nab-PTX(Gemcitabine/Nab-Paclitaxel)療法といった新規化学療法を組み合わせることによりその予後は改善傾向にある。特にBR膵癌では術前化学療法が必須とされる。しかし、十分な術前化学療法ののちに切除を行なっても、比較的短期に遠隔転移再発を経験することも多い。本法ではBR膵癌に対しては一般的にGEM/Nab-PTX療法を3クール行なったのちに切除に移行することが多いが、本レジメンでは術後再発を多く経験するため、mFOLFIRINOX療法を8クール施行してからの切除を考慮し、同療法での切除成績を検討する臨床試験を検討中である。 また、当院でもBR膵癌の切除症例が蓄積されてきたため、現在BR膵癌症例の臨床病理学的因子を後ろ向きに集積しており、今後早期再発群と無再発群において切除検体を用いて網羅的遺伝子検索を予定している。もし、化学療法導入前の検体からオルガノイド樹立に成功した症例があれば、そちらを用いた解析も検討している。
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