• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

食道腺癌の発癌促進作用がある菌の同定とその発癌促進機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K16510
研究機関京都大学

研究代表者

奥村 慎太郎  京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (20939087)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード食道腺癌 / バレット食道 / 細胞老化 / 酪酸
研究実績の概要

本研究の目的は、大腸癌発癌促進作用があるPorphyromonas gingivalis, Porphyromomas asaccharolytica, Fusobacterium nucleatumが食道腺癌の発癌を促進するかどうかを検討することである。われわれはその発癌メカニズムとして、3菌種が食道腺癌の発生母地であるBarrett食道上皮細胞に細胞老化を誘導し、さらには染色体不安定を惹起することに注目している。
まず、この3菌種共通の代謝産物である酪酸が、Barrett食道上皮細胞株 (CP-A細胞)に細胞老化を誘導するかを検討した。500μM, 1mM, 3mM, 5mMの各濃度の酪酸をCP-A細胞に9日間投与し、細胞数カウントを行った。その結果、1mM以上で酪酸がCP-A細胞の細胞増殖を安定的に抑制することが分かった。また、RT-qPCRにて細胞老化マーカーの遺伝子発現の変化を調べた結果、酪酸投与によりp21、IL-1β、IL-6の発現上昇およびLamin B1の発現低下が認められた。一方でp16の発現上昇は認められなかった。また、DNAダメージ応答について蛍光免疫染色で評価した結果、酪酸投与によりCP-A細胞にDNAダメージ応答が誘導されることがわかった。以上より酪酸はCP-A細胞に細胞老化を誘導することがわかった。
また、令和5年度以降に行う予定の動物実験に先立ち、野生型マウスに食道空腸吻合を施した逆流性食道炎モデルマウスを作成した。
食道腺組織中に菌が存在するかどうかを検討するために、食道腺癌手術検体のFFPE標本を用いたin situ hybridizationは、倫理審査の手続きが遅れたことにより、まだ解析を開始できていない。令和5年度に解析を開始する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

食道腺癌手術検体を用いた解析は、令和4年度に行う予定であったが、倫理審査の手続きが遅れたことにより、まだ解析を開始できていない。

今後の研究の推進方策

食道腺癌手術検体を用いた解析は、倫理審査の承認を受けたため、令和5年度に行う予定である。
細胞実験については、CP-A細胞に3菌種の培養上清を投与することで、細胞老化および染色体不安定が惹起されるかどうかを検討する予定である。また、さらに菌の培養上清により細胞老化が誘導されるメカニズムについても解析する予定である。
動物実験については、p53ノックアウトマウス、p16ノックアウトマウスに食道空腸吻合を施し逆流性食道炎を発生させた上で、菌を投与することで食道腺癌発癌が促進されるかどうかを検討する予定である。
これらの実験データを集積し、3菌種が食道腺癌発癌を促進する可能性について検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

(理由)有効な利用のため、少額の繰越金が生じた。
(使用計画)次年度の物品費に充当の予定である。

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi