研究課題/領域番号 |
22K16519
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
尾原 伸作 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (10623481)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 縫合不全 / 大腸癌 |
研究実績の概要 |
現代の大腸癌手術においても依然として2-19%の頻度で縫合不全が発生すると報告されており,縫合不全の発症予防は極めて大きな臨床的課題である事は不変である.縫合不全の予防および治療としては,一時的人工肛門造設術(回腸および結腸)がしばしば行われる.これは縫合不全部から腸管内容が腹腔外へ漏出しなければ,吻合部が完全に形成されずとも縫合不全部は経時的に自然治癒により閉鎖されるという認識に基づくものである.逆説的に言えば,数ヶ月間,吻合部からの腸管内容の漏出が防止できれば,臨床的縫合不全は来たさないと考えられる.そこで冠動脈分野におけるステント治療で用いられる生体吸収性ステントに着目し,大腸癌手術における縫合不全の治療および予防に応用できないかと考えた.吻合部を一定期間生体吸収性ステントにより被腹・補強することで,臨床的縫合不全の発症を予防する事が可能であるかを実験により検証する事を主な目的としている.冠動脈ステントは,狭窄した冠動脈の拡張を目的とし,網目状構造を有しているため,そのままでは腸管内容の漏出を防止できない.そのため,本研究では,生体吸収ステントを2層構造とし,2層間に生体吸収ポリマー膜を挟み込むことで腸管内腔を確保しつつ腸管内容の漏出を防止できる新しい消化管ステントの開発を目指す.縫合不全の治癒には一定期間の腸管内容漏出防止が肝要であることに着目し,消化管ステントに生体吸収性材料を用いるという点は,既存の報告もなく,新たな可能性を大いに秘めている.さらに,吻合部を一定期間拡張維持することにより,吻合部狭窄を予防する効果も期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度では,ラット直腸内への生体吸収性ステント留置による安全性の評価および指摘条件の検証を計画していた.しかし現状では,ラット直腸内へ安定した状態での生体吸収性ステントの留置が行えていない.当初予定している安定した条件のもとでの生体吸収性ステント留置を行うことができていないため,計画していた生体吸収性ステントの固定性および生体吸収性ステント留置に伴う組織障害の有無の評価および安全性の検証も進んでいない.現在は指摘条件の模索を継続して行うことを進めながら,併行して生体吸収性ステントを留置する実験方法の一部修正が必要であるかについての考察も検討している.
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ,明らかな成果が得られていないが,引き続き検証実験を計画,実施し,実験条件の探索,および実験方法の再評価,加えてデータの蓄積を地道に積み上げて継続的に行う.本研究による新規治療法の開発意欲と,それによりもたらされる可能性がある利益としては,縫合不全が予防可能となれば手術の安全性向上のみならず,入院期間の短縮等にも寄与し,医療経済へも貢献し得ると考えている.そのため,研究に対する熱意は申請時と何ら変化なく強く,本研究を前進させることに注力する.
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