研究実績の概要 |
【目的】仮想現実(VR)技術を用いた術中ホログラムナビゲーション(HN)を大腸癌手術に導入し, NASA Task Load Index(TLX; 精神的要求,身体的要求, 時間切迫感,作業達成度,努力,不満の各尺度につき,低-高または良-悪を両極とする1-100点のGraphical scale)を用い, 手術における術者の主観的メンタルワークロードを検討した. 【方法】CT・MRIから作成した血管走行や腫瘍の3Dデータを透過型VRメガネ(HoloLens2;HL)に移行した(Holoeyes MDサービス). HLを装着し3Dホログラムを術中に閲覧しながら大腸癌腹腔鏡手術(n=15)を行った. 術者は手術後にTLXをアプリで測定した. 【成績】術中HN; 回盲部切除(n=2), 下行結腸部分切除(n=1), 結腸右半切除(n=5), 結腸左半切除(n=2), 側方郭清(n=4), 結腸右半切除+傍大動脈リンパ節郭清(PALND, n=1)に対して施行した.TLXは作業成績; 15[3-35], 精神的要求; 30[20-40],努力;45[35-63],時間切迫感; 50[40-63],身体的要求; 60[50-68],不満; 60[50-65]の順で良好な数値であった. 【結論】HNはHL装着によって不満や身体的負担が高まる一方, 解剖学的理解が深まる事で、術中の精神的要求は低くすみ, 術者は手術の完成度に満足した傾向にあると思われた. VR技術によるナビゲーションは各症例における術者の解剖理解を深め、教育的意義も期待できる。
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