メモリーCD8+T 細胞サブセットである腫瘍内レジデントメモリーT 細胞(Tissue resident memory T cell; TRM)は免疫チェックポイント阻害剤(ICI) 応答の中心と考えられているが、その誘導 についての詳細は不明である。我々は腫瘍抗原情報を導入した、Natural killer T 細胞(NKT 細胞)活性化ワクチンベクターを開発し、このワクチンベクターの投与 で、マウス表皮に抗原特異的なTRM 細胞が誘導されることを見出した。本研究の目的は①我々が開発したワクチンベクターを投与すると腫瘍内にTRM細胞が誘導 されるのか、②誘導されたTRM 細胞は有効な抗腫瘍効果を持つのかを明らかにする事であった。 以下の3つの研究を予定した。研究 1. TCL-EP-DC/Gal 治療(腫瘍細胞ライセートを用いたNKT細胞活性化ワクチン)のち両モデルの開発。研究 2. TCL-EP-DC/Gal による腫瘍内 TRM 細胞の動態の解析。研究 3. 術前化学療法を施行したヒト食道癌検体における腫瘍内 TRM 細胞と NKT 細胞の解析。上記研究1、研究2は腫瘍治療モデルに作成にやや難渋、安定して発癌させ細胞株を作成することが困難であった。病理組織標本においては、病変の定量的な評価は非常に重要である。項目が増加し、評価を正確に行うためには、客観的な定量性が必要と考え、この問題に対処するため、AIを用いた評価を行う方針とした。
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