膵癌はあらゆるがんの中で最も予後不良ながんであり、その有効な治療法や早期発見のためのマーカーの開発は喫緊の課題と言える。通常、難治癌である膵癌患者の栄養状態は不良であり、amino acid malnutritionであるとされる一方で、膵癌患者の血中セリン濃度が高値であることから、このセリンに着目した研究を行った。 本研究では膵癌が増殖能維持のためにセリン生合成を亢進させる新たなメカニズムを明らかにし、in vivoでの検証で、セリン欠乏食が膵癌に対する治療になり得る可能性を示した。今後の膵癌に対する個別化医療への発展や、新たな予後予測因子の創出につながり、臨床的意義は大きいと考えられる。
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