今後の研究の推進方策 |
複数のヒト膵臓癌細胞株(Panc-1, MIA Paca-2, Capan-2, BxPC-3, AsPC-1)を用いて、CLDN7強発現細胞株とCLDN7ノックダウン細胞株に対してRNAシークエンスを施行して、細胞増殖シグナルやEMT関連タンパクの発現を網羅的に解析する。CLDN7阻害が細胞に与える影響を確認する。 RNAシークエンスにおけるパスウェー解析で同定した細胞増殖シグナルに関して、ヒト膵癌細胞株を用いて、CLDNノックダウンによる影響を確認する。CLDN7ノックダウンによる細胞増殖に関与する転写因子NF-kB, STAT3, Erk 1/2, Aktの活性化阻害効果を検討する。CLDN7ノックダウン細胞の細胞周期解析にてG1アレスト及びその結果として生ずるG1/Sブロックが誘導されることは確認している。阻害効果はELISA法にて定量的に評価する。細胞増殖因子の評価は以下の解析法で行う。タンパク質:アポトーシス (Cleaved caspase-3, -8, -9, Bcl-2, Cytosolic cytochrome c)、細胞周期 (p53, p21, cyclin D1, C-myc)、血管新生 (VEGF)、浸潤・遊走 (MMP-9, ICAM-1, VCAM-1)。アポトーシスはFACS(Annexin V/FITC assay)、細胞周期停止効果(Cell cycle analysis)、細胞増殖抑制効果(MTT assay)にてそれぞれ行う。 CLDN7ノックダウンによるEMTの抑制効果を検討する。ヒト膵臓癌細胞株に対し、shRNAを用いてRNA干渉し、蛋白発現が低下することを確認する。EMTはMigration a、 scratch assayに加え、EMTマーカー(Vimentin, a-SMA, E-cadherin)の 蛋白定量および遺伝子発現を測定する。さらに、手術検体より正常膵組織および膵癌組織のプレパラートを作成し、CLDN7による免疫組織染色を行う。膵管上皮、腺房細胞、癌組織へのCLDN7の分布を染色強度、陽性細胞数から層別化して、年齢、性別、腫瘍マーカー、Tステージ、細胞分化度、脈管侵襲の有無、予後などの臨床病理学因子と比較検討する。
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